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2011 年度 実績報告書

被子植物におけるシアン耐性呼吸酵素の新規機能ドメインによる呼吸制御に関する解析

研究課題

研究課題/領域番号 10J00224
研究機関岩手大学

研究代表者

柿崎 裕介  岩手大学, 大学院・連合農学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワードシアン耐性呼吸酵素 / 構造機能相関解析 / ピルビン酸 / 呼吸鎖
研究概要

シアン耐性呼吸酵素(AOX)はミトコンドリア内膜に局在するキノール:酸素酸化還元酵素であり、呼吸鎖にATP合成と非共役的なバイパス経路を構築している。植物において、AOXはエネルギー代謝系に柔軟性を付与する重要な因子であるが、その分子構造や構造機能相関に関わる知見は少ない。そこで、本研究ではAOXの未知構造機能相関を解明し、呼吸制御の観点からその機能的な意味を考察することを目的としている。本年度はサトイモ科植物Arum concinnatumに由来する2種類のAOXを用いて、正常な酵素活性に必要な未知機能性アミノ酸残基の探索を行った。その結果、3番目と4番目のα-ヘリックスを繋ぐ領域にそのような機能性部位があることを示唆する結果が得られた。この機能性部位は、様々な植物由来のAOXで特定の配列パターンを持つことから、何らかの機能性モチーフであると考えられていた。興味深いことに、本研究代表者を共著者として本年度出版された論文においても異なる視点からこのモチーフの機能性について解析されており、そのアミノ酸配列とピルビン酸による活性化機構の有無が相関することが示唆されている。一方で、本研究ではアミノ酸配列と酵素活性の有無そのものが相関することを示唆する結果が得られており、植物において本来発揮される当該モチーフの機能性を解明するためには更なる解析が必要であると考えられた。また、上記の解析における派生的な結果として、N末端親水性領域に特定の置換を導入したAOXではピルビン酸応答性が変化することも明らかとなった。この領域については従来、機能面、構造面ともに知見に乏しく、今回発見した部位は唯一の機能性アミノ酸残基である。従って、この結果はAOXのN末端領域が機能性と密接に関与していることを示した点で新規的であり、当該領域を対象とした構造機能相関解析の端緒となりうるものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

未知の機能性アミノ酸残基を推定するデータは得られたが、現行の解析系の精度が不十分であることから断定的なデータが得られていないため上記の区分とした。しかしながら、当初想定していなかったが本研究の目的に鑑みて意味のあるデータも得られており、単純な計画の遅延ではないことを申し添えたい。

今後の研究の推進方策

今後の第一義的な目標としては現在使用可能な解析系の中で確度の高いデータを得て、本年度に追究してきた機能性アミノ酸残基(あるいはモチーフ)の部位を特定することである。先行研究の結果から、ある部位の機能性についてはタンパク質発現系に依存して異なる結果が得られる事態が想定されるため、必要に応じて複数の発現系で追試をする可能性がある。また、本年度、N末端領域において予期せず機能性アミノ酸残基が岡定されたことから、本研究の本来の目的を逸脱しない範囲で当該領域を対象とした構造機能相関解析を行いたい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Identification of a gene for pyruvate-insensitive mitochondrial altern ative oxidase expressed in the thermogenic appendices in Arum maculatum2011

    • 著者名/発表者名
      Kikukatsu Ito
    • 雑誌名

      Plant Physiology

      巻: 157 ページ: 1721-1732

    • DOI

      10.1104/pp.111.186932

    • 査読あり
  • [学会発表] 恒温性発熱植物Symplocarpus renifoliusと一過性発熱植物Arum maculatumにおけるミトコンドリア呼吸鎖因子の発現様式に関する比較解析2011

    • 著者名/発表者名
      柿崎裕介
    • 学会等名
      第84回日本生化学会大会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都府)
    • 年月日
      2011-09-24

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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