研究課題/領域番号 |
10J00294
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
山本 英明 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 日本学術振興会特別研究員(SPD)
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キーワード | 神経細胞 / フェムト秒レーザー / ナノ加工 / 自己組織化単分子膜 / キネシン / 神経極性 / 軸索誘導 |
研究概要 |
学習や高次認知をはじめとする脳機能の諸原理を構成論的に理解することを目指して、数個の神経細胞からなる小さな神経回路を、細胞培養系で自在に構築するための表面ナノ改質技術の開発を行っている。今年度は、まず、集光フェムト秒レーザーを用いた液中表面改質法を用いて、神経突起を自在に誘導できることを示し、ガラス基板表面にアレイ化させた初代培養神経細胞間を培養環境下で"配線"できることを実証した(Yamamoto et al., Appl Phys Lett 2011)。さらに、有機シラン単分子膜のマイクロパターン基板を使って細胞の接着形態を制御し、神経細胞の極性(軸索と樹状突起)形成の有無をtau-1/MAP2免疫染色や軸索性キネシン(Kif5C^<560>)のライブイメージングにより評価した。その結果、神経細胞が極性を獲得するためにはある長さ以上に少なくとも一本の突起が伸び出す必要があることや、細胞の形態を非対称化させることで極性軸を制御できることを発見した。極性形成の詳細な分子機構はまだ未解明のまま残されているが、マイクロパターン基板を使って得られた実験結果から、将来軸索へと分化する突起が他の突起に比べて非対称的に長く伸び出すことが極性形成に必須であるということを示すことができた。さらに、パターン基板を使って神経回路形成を誘導する際に軸索と樹状突起を分別して成長させるための、極めて単純な指針を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人工神経細胞回路の作製に向けて、順調に必要な要素技術を揃えることができている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に変更はない。液中表面改質法を用いて神経細胞間を配線し、機能的なシナプスが形成されることを確かめるのが次の課題である。
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