研究課題
申請者はリガンドが豊富に存在するビタミンD受容体(VDR)を用いて、VDRのgenomic活性とnon-genomic活性を測定したところ、種々のリガンドごとに両活性が相関しないことを見い出している。このことは、VDRを含む核内受容体のgenomic/non-genomic経路が特定のリガンドで分離できることを示している。核内受容体のgenomic機構(転写活性化機構)とnon-genomic機構(TGF-βシグナル抑制機構)を別々に制御できるリガンドを用いることで、これまで明らかになっていないnon-genomic機構の分子メカニズムを解明することができる。また、新たなタイプの治療薬の開発につながると考えられる。本年度ではVDRによるTGF-βシグナル抑制機構の分子基盤を明らかにする目的で、Smadとの結合やnon-genomic活性に必要なVDRの機能ドメインを検索した。VDRはその分子構造から、リガンド非依存的な転写活性化領域のABドメイン、DNA結合領域のCドメイン、hingeであるDドメイン、リガンド結合領域・リガンド依存的転写活性化領域のEFドメインに分けることができる。各ドメイン欠損VDRを293細胞に発現させ、活性化型ビタミンD依存的TGF-βシグナル抑制活性を測定した結果、EFドメインがTGF-β経路の抑制とSmadとの結合に必要であることが明らかになった。
すべて 2010
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Journal of Biological Chemistry
巻: 285 ページ: 14747-14755