研究課題
本研究では、動画共有サイトで公開されるモバイルカメラで撮影された映像を対象に、プライバシー保護映像の自動生成手法の確立を目指し、主に以下の3つの課題に取り組んだ。(1)映像に対してモザイクや塗りつぶしなどのプライバシー保護処理を適用する際、すべての人物を対象とすると映像が無意味なものになる可能性がある。本研究では、撮影者が意図的に撮影した人物(意図人物)は映像に不可欠であると考え、映像中の人物を検出し、意図人物の時間的連続性を考慮しつつ意図人物と非意図人物を識別する手法を提案した。実験では、意図人物を1フレームあたりの偽陽性数0.5、真陽性率0.56で検出可能であることを示した。(2)固定カメラで撮影された映像においては、背景モデルの利用により、人物の除去や半透明化など様々なプライバシー保護処理が可能である。一方、モバイルカメラからの映像では、背景モデルの構築が困難であるためプライバシー保護処理の種類が制限される。そこで本研究ではモバイルカメラの映像に対する背景推定を利用した人物の除去によるプライバシー保護処理を提案した。実験では、非意図人物に属する画素を9割以上除去可能であることを示した。(3)映像には表札や自動車のナンバープレートのようなプライバシー情報が含まれる可能性がある。本研究ではこれらのプライバシー保護の基盤技術として、撮影者が意図的に撮影した領域(意図領域)の抽出を提案した。提案手法では、映像から算出される点軌跡を利用することにより、意図人物の検出手法のように特定の物体検出に依存することなく意図領域の抽出を可能である。実験の結果、意図領域に属する画素を偽陽性率0.34、真陽性率0.55で抽出可能であった。
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Multimedia Systems
巻: Vol.18, Issue 2 ページ: 157-173
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IEICE Transactions on Information and Systems
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