研究課題/領域番号 |
10J00463
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
能丸 寛子 九州大学, 生体防御医学研究所, 特別研究員(DC1)
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キーワード | FosB / AP-1 family / alternative splicing / microarray / microglia / astrocyte / neuron |
研究概要 |
fosB遺伝子は選択的スプライシングにより2つのmRNA(fosBとΔfosB)を生じ、それぞれFosB、vFosBあるいはΔFosB、Δ2ΔFosBタンパク質をコードする。これらのfosB遺伝子産物は、他のJun、Fosファミリータンパク質とともに転写因子AP-1のサブユニットとして機能する。当研究室では現在、fosB遺伝子を完全に欠損するマウス(fosB^<G/G>)、ΔfosB mRNAのみを産生するマウス(fosB^<d/d>)を樹立している。本研究は、fosB遺伝子改変マウスの脳からニューロン、アストロサイト、ミクログリア、オリゴデンドロサイトを単離培養し、fosB遺伝子産物によって発現が調節されている標的遺伝子を網羅的に探索同定し、fosB遺伝子産物の個体レベルでの生理的役割を解明することが目的である。 本年度はアストロサイトに関して遺伝子操作マウス(fosB^<G/G>,fosB^<d/d>)由来の細胞と野生型マウス由来の細胞に関してマイクロアレイを行ったところ、Foldchangeが1.5以上のものが24遺伝子見つかった。また昨年度に行ったミクログリアに関するマイクロアレイでは8遺伝子が見つかっており、両者を比較すると1つの遺伝子がアストロサイトとミクログリアの両方で発現量が変化していることがわかった。この遺伝子に関して、海馬組織由来RNA抽出物のマイクロアレイデータと比較すると、この遺伝子の発現量が初代培養細胞と同様の結果が示されたため、この遺伝子は、細胞種に関わらずFosBが発現を制御していると考えられる。今後はニューロンでの発現の変化を調べる予定である。これにより、FosB遺伝子産物がどのような遺伝子を調節しているのか解明される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、ミクログリア・アストロサイトのマイクロアレイは終了しており、ニューロンのマイクロアレイは来年度行う予定である。また、その後の解析について、ミクログリアに関しては下流の遺伝子が本当にFosBによって発現が制御されているのかを証明する実験を行っている途中であり、3年目に行う予定であった実験を一部先に行っている。このため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後はニューロンのマイクロアレイを第一に行う予定である。また、今までのマイクロアレイの結果では予想以上の遺伝子を解析しなければならないことがわかったため、各遺伝子に対してクロマチン免疫沈降を行おうとすると、膨大な時間がかかることがわかったため、ChiP-seqによりFosB/ΔFosBが結合するDNA結合部位を同定する予定である。
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