研究課題/領域番号 |
10J00494
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
赤荻 健介 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 抵抗性前立腺癌 / エストロゲンレセプター / KLF5 |
研究概要 |
前立腺癌は近年増加傾向にあり、欧米人男性の癌罹患率では第1位である。前立腺癌は男性ホルモンであるアンドロゲンによって増殖が促進されることから、治療には抗アンドロゲン剤が用いられる。しかしながら、前立腺癌はこのような治療の過程で抵抗性を獲得することが知られている。この抵抗性前立腺癌には現在有効な治療法が存在しない。 本研究員は、これまでにKLF5の活性制御によって抗アンドロゲン剤抵抗性前立腺癌の増殖を抑制できることを見いだしており、核内受容体ERリガンドを使用することで、低分子化合物によりKLF5の活性を制御し、抗アンドロゲン剤抵抗性前立腺癌の増殖を抑制する事を目指した。 前年度は詳細な分子機構の解明を目標としていたが、Western Blot法、クロマチン免疫沈降法やルシフェラーゼアッセイ、定量的PCR法を用いてERリガンドによりKLF5の転写活性が亢進する詳細なメカニズムを明らかにすることができた。また、KLF5が転写活性能を亢進するときには、ERを介して転写活性化共役因子であるCBPが強くリクルートされることが明らかとなり、その標的遺伝子であるアポトーシス誘導因子FOXO1が転写される。その結果、前立腺癌細胞においてアポトーシスが誘導され、腫瘍の増殖を抑制していることが示唆される。 本年度では上記知見を利用し、KLF5の転写活性を亢進する候補低分子化合物をスクリーニングするスクリーニング系を構築することができた。このスクリーニング系はルシフェラーゼアッセイをベースとしており、スクリーニングロボットを利用することで短期間に大量の化合物をスクリーニングすることができる。 今後は上記知見を基にスクリーニング系により候補リガンドのスクリーニングすることで、新規ERリガンドにより抗アンドロゲン剤抵抗性前立腺癌の増殖を抑制することを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
前年度にスクリーニング系の構築に必要な分子メカニズムの解析が順調に行われたことから、今年度はそれを利用し、スクリーニング系を構築することができた。また、当該スクリーニング系はスクリーニングの実行に有用なスクリーニングロボットを利用することができ、今後有望な候補化合物が得られると期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は構築したスクリーニング系を用いて、候補化合物の探索を行う。候補化合物はin vivo、in vitroの両面から評価を行い、より確実な効果を評価する。 現在までにin vivo、in vitroの実験系を確立しており、迅速な計画の進行が期待できる。
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