• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

高エンタルピー風洞におけるレーザー診断法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 10J00660
研究機関東京大学

研究代表者

野村 哲史  東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード高エンタルピー気流 / レーザー吸収分光法 / 吸収飽和 / 空間分解計測 / 二酸化炭素プラズマ
研究概要

高エンタルビー風洞におけるプラズマ気流の並進温度計測のために,レーザー吸収分光法を高感度でかつ空間分解計測となるように発展させる必要がある.高感度化に関しては,光学的共振器を利用したキャビティエンハンスト法を用いて,昨年度までで二桁の感度向上が確認され,日本宇宙航空研究開発機構の大型アーク加熱風洞での計測でも適用が可能であることが確認された.しかし,その計測はレーザー光路にそった線積分値を与えるため,空間分解計測にはさらなる工夫が必要となる.本研究では,吸収飽和現象を利用した空間分解計測に着目した.この方法は,従来のアーベル変換とは異なりプローブ光を測定対象に対して固定することができるため,光学的共振器を利用した高感度吸収分光法にも適用可能である.まず,吸収飽和が誘起されるために必要なレーザーの強度を知る必要があるため,キャビティエンハンスト法にてレーザーの強度を変え吸収飽和の現象を確認した.その結果,適用を考えているプラズマにおいては,一般的な半導体レーザーで吸収飽和を誘起することが可能であることが確認された.
近年,火星探査のための研究が盛んに行われ,大気圏突入に関する研究も,実験および数値シュミレーションの双方から進められている.しかし,二酸化炭素プラズマの生成は容易ではなく,日本には実用化された二酸化炭素プラズマ風洞が存在しない,そこで,本研究では,ドイツシュツットガルト大学の所有する誘導加熱型プラズマ風洞に対し,本研究室で培った計測技術を適用した,空気プラズマ中の酸素原子計測において,レーザー吸収分光法は高感度化が必要であることが既にわかっていたが,二酸化炭素プラズマ中の酸素原子計測に適用できるかどうかは未だ確認されていなかった.計測の結果,やはり吸収信号は非常に小さかったものの,観測可能であり,その温度は5000k程度であることが確認された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

高感度化と空間分解計測を主な目的とする診断法の確立において,高感度化に関してはすでに実証されている.また,空間分解計測に向けた開発に関しても,その計測に利用される物理現象に対する基礎的な理解が深まり,新しい計測法の実現のために必要な諸元が明らかになった.

今後の研究の推進方策

空間分解に向けた計測法の開発においては,プローブ光と吸収飽和誘起光の二軸を測定対象内で交わらせる必要がある.現在,研究室で所有している測定対象では,そのアライメントが困難であるため,計測法の開発に適した仕様に設計変更する予定である.その後,局所的な吸収飽和が誘起された場合と誘起されない場合の吸収信号の微小な差異をロックインアンプを使って評価する.計測法の妥当性が確認されれば,プローブ光と吸収飽和誘起光の交点を移動させながら,プラズマ気流中の並進温度の半径方向分布を取得する.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Evaluation of Nonequilibrium Excitation of Inductively Heated Atomic Oxygen by Laser Absorption Spectroscopy2011

    • 著者名/発表者名
      S.Nomura
    • 雑誌名

      Frontier of Applied Plasma Technology

      巻: 4 ページ: 65-69

    • 査読あり
  • [学会発表] Development of Highly Sensitive and Spatially Resolved Laser Absorption Spectroscopy for Plasma Wind Tunnel Diagnosis2012

    • 著者名/発表者名
      野村哲史
    • 学会等名
      50th AIAA Aerospace Sciences Meeting
    • 発表場所
      USA, Nashville
    • 年月日
      2012-01-10
  • [学会発表] プラズマ風洞計測における半導体レーザー吸収分光法の高感度化2011

    • 著者名/発表者名
      野村哲史
    • 学会等名
      第43回流対力学講演会
    • 発表場所
      東京高田馬場早稲田大学国際会議場
    • 年月日
      2011-07-08
  • [学会発表] Spatially resolved measurement of high enthalpy flow using cross-beam saturation absorption spectroscopy2011

    • 著者名/発表者名
      野村哲史
    • 学会等名
      The 28th International Symposium on Space Technology and Science
    • 発表場所
      沖縄コンベンションセンター
    • 年月日
      2011-06-09
  • [学会発表] 電極損耗なく空気プラズマが生成可能なアーク風洞の開発2011

    • 著者名/発表者名
      野村哲史
    • 学会等名
      日本航空宇宙学会年会講演会
    • 発表場所
      東京本郷山上会館
    • 年月日
      2011-04-15

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi