本研究は、少人数教育の効果を最大限に引き出せるような学級規模縮小法の制度的条件を明らかにすることを目的としている。学級規模縮小法の制度的条件を明らかにするためには、学級規模縮小法の法制的分析に加え、学級規模縮小プログラムを運用するための財政基盤の分析を踏まえる必要があると考えている。平成22年度に実施した研究では、カリフォルニア州の学級規模縮小プログラムについて、中央と地方の関係性に着目しながら、学級規模縮小プログラムを運用していくための教育財政制度を明らかにした。この成果は2010年8月開催の日本教育学会、2011年3月開催の筑波大学教育学会で発表した。 2010年11月30日から12月10日までの期間には、渡米調査を実施し、カリフォルニア州教育省と学区教育委員会では学級規模縮小の教育財政に関するインタビュー調査と資料収集を行い、学校現場では学級規模縮小クラスの視察調査、学区教育委員会では教員の職能開発の視察等を行った。この調査報告は、2011年発行の教育制度研究紀要第6号で発表している。 今日のカリフォルニア州の財政事情は厳しい状況にあるが、それでもなお1996年制定法である学級規模縮小法を州の特定補助金を活用して継続的に実施している点に注目して、その実現要因や継続要因を明らかにすることを課題として取り組んだ。財政基盤の分析をふまえた本年度の研究は、申請者の研究の基礎的な部分に位置つく重要な分析軸である。
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