研究概要 |
超音波遺伝子導入法の導入効率向上に関する検討を行った。まず、最もシンプルな方法として、プラスミドベクターの注入のみで効率よく遺伝子導入が出来る方法について検討した。マウス筋組織に対して、低用量で反復してプラスミドベクターを注入することにより骨形成因子遺伝子導入を行い、骨誘導能に関する検討を行った。高用量で1日1回のみ投与する群と、低用量(1回注入の2,4,8分の1の用量)で1日1回で1,2,4,8日間反復して投与する群とで、それぞれ骨誘導活性に関して比較を行った。その結果、8回反復して注入した群において最も効率よく(およそ60%)骨誘導させることが出来た。これにより、これまで何らかの物理的刺激がなければ不可能と考えられてきたプラスミドベクターを用いた骨形成因子遺伝子導入による骨形成法に関して、投与方法を工夫すれば、生体内へ低用量のベクターを反復して注入するだけというシンプルな方法であっても骨組織の形成を誘導することが可能であるという新たな知見を得た。 次に、炭酸アパタイトナノ粒子による遺伝子導入法に超音波遺伝子導入法を併用効果に関して、検討を行った。炭酸アパタイトナノ粒子-lacZ遺伝子発現プラスミドベクター複合体を作成し、培養ディッシュに添加する群と添加しない群、超音波を照射する群と照射しない群、さらにマイクロバブル液を添加する群と添加しない群の合計6つの群に分け、マウス繊維芽細胞株(C3H10T1/2)を用いて検討を行った。結果、炭酸アパタイトナノ粒子により遺伝子導入を行った群において高効率の遺伝子導入を行うことが出来、超音波を併用すると導入効率が上昇することが明らかとなった。さらに、通常の超音波遺伝子導入の場合と同様にマイクロバブルを併用することによって遺伝子導入効率がさらに上昇することを明らかにした。
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