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2010 年度 実績報告書

不均一系触媒による高選択的な精密重合開始剤系の開発

研究課題

研究課題/領域番号 10J00942
研究機関名古屋大学

研究代表者

金澤 有紘  名古屋大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)

キーワードリビング重合 / ラジカル重合 / 付加重合 / 不均一系触媒 / 酸化鉄 / ビニルモノマー / スチレン / メタクリル酸メチル
研究概要

本研究では,高選択性,環境低負荷,高汎用性などの特長を有する,不均一系触媒を用いた精密重合開始剤系の開発を目的としている。今年度は,酸化鉄を不均一系触媒として用いたリビングラジカル重合系の開発を行った。
低原子価種のFe(II)を有するFeOを触媒として,汎用ビニルモノマーであるスチレンあるいはメタクリル酸メチルのラジカル重合を行った。様々な重合条件を検討した結果,DMF/トルエンあるいはCH_3CN/トルエン混合溶媒中,炭素ラジカルを比較的生成しやすい炭素-臭素結合を有する開始剤を用いると,重合が進行して単峰性の分子量分布を有するポリマーが生成し,またその分子量は計算値に沿って直線的に増加することが明らかとなった。この結果は,酸化鉄を用いた重合がリビング的に進行したことを示している。さらに,n-Bu_4NBrなどの第四級アンモニウム塩を添加物として組み合わせることで,分子量分布が比較的狭いポリマーが生成し,重合がより制御されることがわかった。重合中の撹拌は重合速度に大きな効果を及ぼし,撹拌を行わないと重合の進行が非常に遅かった。また,重合の途中で撹拌を一時停止したところ重合速度は小さくなり,その後撹拌を再開始することで重合は再加速した。このような結果は,FeOの表面が重合中常に開始・生長末端である炭素-臭素結合の可逆的な開裂に伴う生長ラジカル生成に関与して,重合が不均一系触媒作用により進行したことを示唆している。また,Fe(II)とFe(III)を有し,砂鉄の主成分であるFe_3O_4を用いた場合にも,FeOに比べて活性は小さいものの,重合がリビング的に進行することが明らかとなった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Iron Oxides as Heterogeneous Catalysts for Controlled/Living Radical Polymerization of Styrene and Methyl Methacrylate2011

    • 著者名/発表者名
      Arihiro Kanazawa
    • 雑誌名

      Macromolecules

      巻: 44 ページ: 1927-1933

    • 査読あり
  • [学会発表] Metal oxides for green precision polymer synthesis : living cationic polymerization of vinyl ethers and other possibilities2010

    • 著者名/発表者名
      Arihiro Kanazawa
    • 学会等名
      The 2010 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies (Pacifichem 2010)
    • 発表場所
      Hawaii Convention Center
    • 年月日
      2010-12-19

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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