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2011 年度 実績報告書

鉄触媒を用いた様々な炭素―水素結合同士の脱水素カップリング反応の開発

研究課題

研究課題/領域番号 10J00954
研究機関京都大学

研究代表者

内山 七瀬  京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード鉄触媒 / アミン / 芳香族化合物 / アリールボロン酸 / 酸化的カップリング / ビアリール / ラジカル反応 / 無触媒
研究概要

1.鉄触媒を用いるアルキルアミンと芳香族化合物またはニトロアルカン,1,3-ジカルボニル化合物の酸化的カップリング反応
芳香環へのsp3炭素の導入にはFriedel-Crafts反応が有効であるが,脱離基Xを持つsp3炭素が必要となる.sp3炭素-水素結合の炭素-X結合への酸化および続く求電子的芳香族置換反応からなるタンデム反応が進行すれば,事前に脱離基を導入する必要がなくなるため合成的に有用である.昨年度にそのような反応として,触媒としてFeCl3,酸化剤としてt-BuOOt-Buを用いる,アルキルアミドと芳香族化合物の酸化的カップリング反応を開発した.今年度はsp3炭素源としてアルキルアミンにも適用できること,および求核剤としてニトロアルカンや1,3-ジカルボニル化合物も利用できることを明らかにした.
2.鉄触媒を用いるアリールボロン酸と芳香族化合物の酸化的カップリング反応
ビアリールは有用な化合物であり,近年その合成法として,アレーンのC-H結合を利用するものが報告されているが,主に高価な金属が触媒として用いられている.安価な鉄触媒を用いることができれば,合成的に有用といえる.今回,1で紹介したカップリング反応の機構を考察する過程で,入手容易なアリールボロン酸とアレーンの酸化的カップリング反応が進行すると考え,触媒としてFe(OTf)3,酸化剤としてt-BuOOt-Buを用いたところ,実際に様々なアリールボロン酸とアレーンがカップリングすることを見つけた.
3.遷移金属触媒を用いないアリールGriganrd反応剤とハロゲン化アリールのクロスカップリング反応
これまで,豊富に存在し安価な鉄を触媒として用いる反応を開発してきたが,より低コストな反応として,1電子移動によるハロゲン化アリールからのアリールラジカル発生法を利用することで表記の反応が進行することを見つけた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

目的としていた鉄触媒を用いる脱水素カップリング反応の基質の適用範囲を拡げることができた.また,その反応機構を基に,目的としていた鉄触媒を用いるアリールラジカル発生法を見いだし,アリールボロン酸と芳香族化合物の酸化的カップリング反応を開発した.また,豊富に存在し安価である鉄を触媒とすることを目標としていたが,より安価に実行できる反応として,遷移金属触媒を用いなくても進行するハロゲン化アリールとアリールGriganrd反応剤のクロスカップリング反応を見つけた.

今後の研究の推進方策

当初は豊富に存在し安価である鉄を触媒とする脱水素カップリング反応の開発を目指していたが,より安価に実行できる反応として遷移金属触媒を用いなくても進行するハロゲン化アリールとアリールGrignard反応剤のクロスカップリング反応を見いだした.今後は遷移金属触媒を用いない反応系を,炭素-水素結合を利用するカップリング反応へと拡げていく予定である.実際すでに当研究室において,ハロゲン化アリールと芳香族化合物のクロスカップリング反応,およびハロゲン化アリールとスチレン類のクロスカップリング反応を報告している.今後はさらに複素芳香族化合物などにも適用していきたいと考えている.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Cross-Coupling of Aryl Grignard Reagents with Aryl Iodides and Bromides through SRN1 Pathway2012

    • 著者名/発表者名
      白川英二, 林裕美, 伊藤賢一, 渡部遼, 内山七瀬, 小長谷亘, 増井誠二, 林民生
    • 雑誌名

      Angewandte Chemie International Edition

      巻: 51 ページ: 218-221

    • DOI

      DOI:10.1002/anie.201106086

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Iron-Catalyzed Oxidative Coupling of Alkylamines with Arenes, Nitroalkanes, and 1,3-Dicarbonyl Compounds2011

    • 著者名/発表者名
      白川英二, 米田友貴, 守屋孝平, 大田健介, 内山七瀬, 西川諒, 林民生
    • 雑誌名

      Chemistry Letters

      巻: 40 ページ: 1041-1043

    • DOI

      DOI:10.1246/cl.2011.1041

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Iron-Catalyzed Oxidative Coupling of Arylboronic Acids with Benzene Derivatives through Homolytic Aromatic Substitution2011

    • 著者名/発表者名
      内山七瀬, 白川英二, 西川諒, 林民生
    • 雑誌名

      Chemical Communications

      巻: 47 ページ: 11671-11673

    • DOI

      DOI:10.1039/c1cc14694g

    • 査読あり
  • [学会発表] SRN1機構を利用したハロゲン化アリールのカップリング反応によるビアリール合成2012

    • 著者名/発表者名
      白川英二, 内山七瀬, 林民生
    • 学会等名
      日本化学会第92春季年会
    • 発表場所
      慶応義塾大学
    • 年月日
      20120325-20120328

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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