研究概要 |
1.パターン束モデル(Pattern Lattice Model)に基づく言語知識の構造記述とデータ解析手法の探求スクリプト言語Pythonを利用して「徹底した用法基盤モデル」の一つの体現である「パターン束モデル」を解析プログラムとして実装し、(1)幼児の発話データを解析し統語発達のプロセスを記述、(2)英語の主要構文の一つである結果構文(e.g., John hammered the metal flat)の記述、を実施した。 2.1に基づく言語データの記述結果の対外発表 1の結果を複数の学会の研究大会において発表し、特に、(1)日本認知言語学会第11回全国大会ではPLMを用いた言語分析のワークショップを主催しその理論的基盤と有効性を議論し、(2)日本認知科学会第27回大会では関連研究に従事する研究者との交流を通して重要な知見を得た。 3.進捗状況と課題 (1)1によって、徹底した用法基盤モデルに基づく言語構造記述の蓄積が進展し、(2)2によってその妥当性の検証が進展していると言える。ただし、(3)現時点では英語の統語構造に関する包括的な議論ができておらず、今後より多様な構造体(もしくは構文Constructions)に関する記述研究が必要であること、及び、(4)国内外のジャーナルへの論文の投稿により研究の質をさらに向上させると共により多くのフィードバックを得ることが必要である。(5)また現在、主に(3)の解決策として、中規模コーパスからサンプルデータを抽出し、そこからパターン束モデルを用いてミニチュアの文法を構築するという作業に取り掛かっている。
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