本研究では、全身投与可能な化学修飾核酸の開発と核酸医薬創製研究への展開を目的として、ヌクレアーゼ抵抗性とRNAへの高い親和性を兼ね備えた2'-置換-4'-チオ核酸を用いて、in vitroからin vivoまでの生体機能制御法への応用を目指す。 【1】高いRNAi効果と持続性を兼ね備えたsiRNA 2'-OMe-4'-チオ核酸を用いて、ルシフェラーゼ遺伝子(GL3)を標的とした様々な修飾様式の化学修飾型siRNAを合成し、それらのHeLa細胞における遺伝子発現抑制効果を評価した。細胞へのトランスフェクションはMENDを用いた。その結果天然型と同等の活性を持ちながら、天然型よりも40%高い持続性を示すsiRNAの修飾様式を見いだした。さらにこの修飾siRNAはマウス血清中において天然型siRNAよりも5.5倍安定であることを明らかにした。これらは、2'-OMe-4'-チオ核酸修飾型siRNAがin vivoで応用可能であることを示唆する結果と言える。 【2】microRNAを標的とするアンチセンス核酸(AMO) 様々な修飾様式の2'-置換-4'-チオ核酸および2'-置換型核酸修飾型AMOの合成を行った。ルシフェラーゼ遺伝子の3'-UTRにmiR-21のターゲット配列を組み込んだレポーターベクターの調製を行い、これを修飾型AMOとともにHeLa細胞へコトランスフェクションしてAMOの活性評価を行った。その結果、2'-OMe-4'-チオ核酸完全修飾型AMOが、2'-OMe完全修飾型AMOよりも高く、持続的なmiRNA(miR-21)抑制効果を示した。2'-OMe完全修飾型AMOは現在分子生物学研究のツールとして広く用いられているが、これより高い効果を示した2'-0Me-4'-チオ核酸修飾型AMOは研究ツールに留まらず、核酸医薬開発まで幅広く応用できることが期待できる。
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