研究概要 |
近年,精密金型や光学部品の応用分野では,微細形状を高速で創成可能な高精密加工法への要求が高まっている.従来までは,切削加工を行った後に研磨加工を行う事で,形状精度と表面粗さを実現する方法が用いられてきた.しかし,この方法では加工時間が長くなるという問題があり,また研磨加工では,工具を定圧で工作物に押しつけて加工を行うため,形状精度が悪化するという問題があった.本研究では,工具の位置制御と圧力制御を併用して形状精度と表面粗さの両立した形状の創成法の研究を行う. 本研究では,前年度までに加工に用いるための高速ナノサーボ機構の開発と制御法の研究を行った.今年度は,比較対象機に用いるリニアモータ駆動の加工機開発を行い.リニアモータ駆動の加工機を用いて,ハイブリッド加工制御を適用した加工を行う予定であった.リニアモータ駆動の送り系では,同サイズのボールねじ駆動の送り系に比べて,モータの推力が小さいため摩擦の影響により運動精度が低下するという問題があった.そこで,リニアモータ駆動の送り系に生じる摩擦力の解析と補正方法の研究を行った. 転がり案内に生じる摩擦力の測定のためのテストスタンドを製作し,摩擦力の測定を行った.測定のために,微小線分送りとドウェルを組み合わせた測定パターンを提案した.摩擦力の解析結果から従来は,分離できなかった材料の弾性変形によるスティック摩擦成分とスリップ摩擦成分を分離してモデル化することが可能となり,摩擦力補正のための簡易な補正モデルが提案できた.
|