本研究では、新規抗HIV活性化合物の探索を目的としたランダムスクリーニングにより見出されたpyrimidobenzothiazin-6-imine骨格を有する抗HIV活性化合物PD404182の構造最適化を目指した骨格構築法の開発と応用について検討を行った。本研究課題の申請時点において、C-H官能基化反応を用いたPD404182誘導体合成法の開発を報告していた。しかしながら、本合成法ではPD404182の合成は低収率にとどまっていたことから、より効率的な芳香族求核置換反応を用いた合成法を開発した。本合成法を用いることにより、従来法からPD404182の合成工程を1段階短くなり、誘導体合成の合成効率が格段に向上した。また、これら二種類の合成法を用いて、PD404182の構造活性相関研究を行い、PD404182の2倍の抗HIV活性を示す誘導体を見出した。現在、本誘導体からのさらなる構造最適化を行っている。 また、PD404182が既存の抗HIV活性化合物とは異なる作用機序を有することを示唆する研究結果を得た。そこで、PD404182の作用標的であるタンパク質の同定研究に用いるためのプローブを合成した。これらプローブは、PD404182の構造に加え、光反応性官能基であるベンゾフェノンもしくはアジド、検出に用いる官能基であるビオチンもしくはテトラメチルローダミン、アルキンを有しており、現在これらを用いた標的同定研究を実施している。
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