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2010 年度 実績報告書

有限温度格子QCDによる臨界温度以上でのチャーモニウムの消失に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 10J01942
研究機関筑波大学

研究代表者

大野 浩史  筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワードQCD / 格子ゲージ理論 / 有限温度 / クォーク・グルオン・プラズマ / J/Ψ抑制 / チャーモニウム / 対角化の方法 / スペクトル関数
研究概要

本研究の目的は、格子QCDによる数値シミュレーションを用いてチャームクォークと反チャームクォークの束縛状態であるチャーモニウムの有限温度下での振る舞いを調べ、それらがどのように消失するかを調べることである。
先行研究では最大エントロピー法(MEM)を用いてチャーモニウムのスペクトル関数(SPF)が計算され、その振る舞いからチャーモニウムの消失温度が調べられたが、MEMにはいくつかの不定性や不明瞭な点があった。
そこで本研究では、これまでの研究とは異なるアプローチの仕方として、対角化の方法を用いた解析を行う。格子QCDの計算では、格子間隔や体積が有限なため、離散的なスペクトル関数のみが得られると考えられ、対角の方法はこのような離散的な量を計算する場合に適した方法である。
22年度は、対角化の方法を用いてSPFを計算する新たな方法を開発し、ダイナミカルなクォークの効果を無視したクエンチ近似の下でその有効性を確かめ、その結果を学会等で発表した。具体的な内容としては、ゼロ温度でのSPFを計算した結果、基底状態のSPFを高い精度で計算することができ、MEMで計算されたものと比較しても矛盾のない結果が得られた。さらに、励起状態に関してはMEMよりもより精度のよい結果を得ることができ、このことは非常に意義のあることだと言える。また、有限温度においてもSPFを計算した結果、少なくとも臨界温度の1.4倍の温度まで、J/Ψやηcといったチャーモニウムが消失する明確な証拠は得られなかった。この結果は、先行研究の結果とも矛盾のないものである。
今後は、より高温でのシミュレーションや、チャーモニウムのP波状態や励起状態についても解析を行うことが重要であると考えている。また、ダイナミカルなクォークの効果を取り入れだfull QCDでのシミュレーションも行っていく予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] An application of the variational analysis to calculate the meson spectral functions2011

    • 著者名/発表者名
      H.Ohno, et al.
    • 雑誌名

      Proceedings of Sciences (LATTICE 2010)

      巻: 209 ページ: 1-7

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 格子QCDにおける対角化の方法を用いたチャーモニウムスペクトル関数の研究2011

    • 著者名/発表者名
      大野浩史
    • 雑誌名

      素粒子論研究

      巻: 118 No.4

  • [学会発表] A method to calculate meson spectral functions with a variational method in lattice QCD2010

    • 著者名/発表者名
      H.Ohno
    • 学会等名
      Japanese-German Seminar 2010 "Lattice QCD confronts experiments"
    • 発表場所
      Mishima, Japan 三島商工会議所会館
    • 年月日
      2010-11-05
  • [学会発表] 格子QCDにおける対角化の方法を用いたメソンスペクトル関数の計算2010

    • 著者名/発表者名
      大野浩史
    • 学会等名
      日本物理学会2010年秋季大会
    • 発表場所
      九州工業大学、北九州市
    • 年月日
      2010-09-13
  • [学会発表] 格子QCDにおける対角化の方法を用いたチャーモニウムスペクトル関数の研究2010

    • 著者名/発表者名
      大野浩史
    • 学会等名
      熱場の量子論とその応用
    • 発表場所
      京都大学基礎物理学研究所
    • 年月日
      2010-08-30
  • [学会発表] An application of the variational analysis to calculate the meson spectral functions2010

    • 著者名/発表者名
      H.Ohno
    • 学会等名
      The XXVIII International Symposium on Lattice Field Theory (Lattice 2010)
    • 発表場所
      Villasimius, Sardinia, Italy
    • 年月日
      2010-06-15

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公開日: 2012-07-19  

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