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2012 年度 実績報告書

近代初期中国をめぐる国際政治経済構造の変容:18・19世紀転換期のマカオを中心に

研究課題

研究課題/領域番号 10J02078
研究機関京都大学

研究代表者

豊岡 康史  京都大学, 人文科学研究所, 特別研究員(PD)

キーワード東洋史 / 清代史 / 中国:マカオ:イギリス / 経済史
研究概要

18世紀後半から19世紀前半にかけての中国沿海を中心とする国際政治経済関係は、当該期のアヘン・銀・茶といった国際商品とロンドン・シティの多角的金融構造を軸に成立する世界経済の重要な構成要素である。従来、この間の政治・経済関係は、「西洋=イギリス」と「中国=清朝」の衝突という二分法で語られてきた。しかし当時の国際政治経済構造は、マカオを結節点にさまざまなアクター(清朝中枢、広東当局、公行、マカオ当局、英国東インド会社、カントリートレーダー、英国本国、ポルトガル本国、地元住民、海賊など)のそれぞれの文脈と利害に基づく活動の均衡の上に成り立っていた。
本研究においては、ロンドン・リスボン・マカオ・北京・台北・広州などの文書館に所蔵される一次資料を利用して、上記それぞれのアクターの利害を跡付ける。この作業を通して、これまで大英帝国論・伝統中国論・中西関係史・近代東アジア経済史の狭間にあって閑暇に付されてきた、19世紀以降の東アジア近現代における変動の前提となる国際政治経済構造が明らかになる。
本年度は、英国図書館・英国公文書館(ロンドン)において調査を行い、特に19世紀初頭における中国沿海の海賊問題へのヨーロッパ人の関与の在り方、イギリス東インド会社の対中国貿易データに関する史料を得た。その分析の結果、19世紀初頭のイギリス東インド会社のカントンコミッティは、アヘン取引の競争相手であるマカオ商人の排除を目指してインドからの派兵を希求していたが、会社本部及びインド総督は必要性を認めず、現状維持を支持していたし、また清朝広東当局との交渉も失敗した。一方、マカオ当局と清朝広東当局は、海賊対策において交渉と協調行動をたびたび行っており、当該地域秩序維持のパートナーとなっていたことが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、イギリスなど海外の文書館における史料調査と研究成果の発表が進んだ。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 清朝と舊明領国際関係(1644-1840)2013

    • 著者名/発表者名
      豊岡康史
    • 雑誌名

      中国史学

      巻: 72-2

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 清代中期政策当局者の社会問題認識:海賊問題におけろ「廃馳」・「盜首」論を中心に2012

    • 著者名/発表者名
      豊岡康史
    • 雑誌名

      東洋学報

      巻: 94 ページ: 59-89

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 嘉慶?浙海賊問題叙述の系譜2012

    • 著者名/発表者名
      豊岡康史
    • 雑誌名

      集刊東洋学

      巻: 108 ページ: 85-108

    • 査読あり
  • [学会発表] 東南沿海をめぐる国際秩序と清朝中期の対外政策2012

    • 著者名/発表者名
      豊岡康史
    • 学会等名
      日本アルタイ学会第49回大会
    • 発表場所
      藤屋旅館(長野県)(招待講演)
    • 年月日
      2012-07-15
  • [学会発表] 中国海賊(チャイニーズ・パイレーツ)イメージの形成2012

    • 著者名/発表者名
      豊岡康史
    • 学会等名
      東洋文庫ミュージアム「東インド会社とアジアの海賊」展記念シンポジウム
    • 発表場所
      日仏会館(東京都)(招待講演)
    • 年月日
      2012-04-14

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公開日: 2014-07-16  

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