| 研究概要 |
鳥取砂丘海岸では,社会基盤整備に伴い海岸侵食が深刻化しており,鳥取県ではその対策として,港湾や河口に堆積した土砂を侵食域の投入する(養浜)海岸保全(サンドリサイクル)を行なっている.しかし,保全に適切な土砂投入の量や位置は不明確であり,検討すべき課題が多く残されており,海岸地形変化の予測が必要不可欠である.一方で,直接土砂投入を行った際の地形変化を予測可能な海浜変形モデル(等深線変化モデル)の開発を行ってきた.そこで,本研究では,このモデルを実用レベルに引き上げ,養浜土砂の動きおよび,その後の地形変化を調べるため屋内実験による養浜実験を行った.本研究における成果を以下に記す.
・養浜土砂の移動に関する屋内実験
2次元造波水槽の一端にスロープを設置し,その上に砂を敷きならし海底地形を形成した.土砂投入後の地形変化を詳細に計測することで,土砂の動きを把握することができ,その移動速度と波浪特性とを関係付けることができた.また,さまざまな波浪および養浜条件のもと,養浜後の地形変化を詳細に追跡することで,養浜位置や量によりその後の効果に差が生じることがわかり,有用な養浜を行うための基本的なデータ収集を行うことができた.
・鳥取砂丘海岸調査
鳥取砂丘海岸の定期的なモニタリングを実施した.また過去の深浅図を解析し経年的変化を調べた.当該海岸は大きくは季節変化を繰り返しながら侵食傾向にあったが,サンドリサイクル開始以降その速度は緩やかもしくは回復傾向にある.さらに季節的変化だけでなく,暴浪などによる短期間での変化が激しいことがわかった.
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