研究課題/領域番号 |
10J02129
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
宮崎 悠 北海道大学, スラブ研究センター, 特別研究員(PD)
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キーワード | ポーランド史 / 国際政治史 / シオニズム / ディアスポラ / 移民 / ナショナリズム / ユダヤ人問題 / 宗教 |
研究概要 |
H23年度は、「ポーランドにおけるシオニズムの析出」をテーマに研究を進めた。戦間期から第二次大戦勃発まで弁護士・国会議員として活躍したポーランド・シオニスト、A.ハルトグラス関連の文献を収集し、その内容を「A.ハルトグラス『領土とネイション』:ポーランド・シオニズムの一事例」にまとめた(『境界研究』掲載)。 2011年4月にフィンランド国立図書館(ヘルシンキ)のSlavonic Libraryにおいて資料の閲覧・収集を行った。 1907年から1915年にかけペテルブルクにおいて発行されたシオニスト雑誌『ラスヴェト』のオリジナルを閲覧することができた。その後、5月から7月中旬までポーランドにおいて資料収集を行い、国立図書館(ワルシャワ)においてハルトグラスが編集を行っていた雑誌"GlosZydowski"(Warszawa,1906-07)のマイクロフィルムを閲覧した。同誌に掲載された彼の論考から、在留型シオニズムがどのような論拠に基づいて自己の主張を展開したのかを確認した。 研究成果については、7月にワルシャワ大学で開かれるWEEC国際東欧会議に参加し、ポーランド・シオニズムにおけるナショナリズム・イメージについて研究の中間報告を行った(英語)。その際には、ワルシャワ大、ウッジ大学の研究者と貴重な意見交換を行うことができた。また、9月上旬にBRIT 2011(於アムステルダム)において「世紀転換期におけるポーランド国民の境界とその可変性」をテーマに口頭報告を行った(英語)。そのほか、情報収集として、7月4日から20日にかけ、ワルシャワ・ユダヤ協会の主催するイディッシュ講習に参加し、ヨランタ・ジンドゥルワルシャワ大学歴史学部教授をはじめとするユダヤ研究者との情報交換の機会を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2011年4月にフィンランド国立図書館(ヘルシンキ)のSlavonic Libraryにおいて、1907-15年にかけてペテルブルクにおいて発行されたシオニスト雑誌『ラスヴェト』を閲覧できた。また、5月から7月中旬まで、ポーランド国立図書館(ワルシャワ)において、現存数の極めて少ない雑誌"GlosZydowski"(Warszawa,1906-07)のマイクロフィルムを閲覧した。特に1906年のポグロムに関する記事連載は、その臨場感において他に類をみない。その他、理論的な面においても、同誌に掲載されたシオニストの論考から、ディアスポラ型シオニズムがどのような論拠に基づいて自己の主張を展開したのかを確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
H24年度は、「政治と公共宗教」という大きなテーマをまとめる年度とする。 今年度までの研究においては、ヴァチカン=ポーランド関係については文献整理までの段階にあり、ヴァチカンにおける史料収集が未完であるため、4月から8月にかけてこの分野を終える。その後、9月に中間報告として、日本国際政治学会のパネル「宗教、国際政治、ナショナリズム」において報告を行う予定。9月以降は、前年度までの研究のまとめ(ロシア帝国領におけるカトリック教会とロシア正教、プロイセン領ポーランドのカトリック聖職者が他の分割領に及ぼした影響等の論点)を行う。そのうえで、11月にBRIT in Fukuoka/Pusanにおいて最終的な研究報告を行う。
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