研究概要 |
多粒子系分子動力学計算で実現される結晶・多結晶・ガラスなどの様々な固体の性質を系統的に調べた.それに先立ち,これらの乱れを的確に抽出する秩序変数であるdisorder variableを,6回の球面調和関数用い開発した.このdisorder variableは,粒子座標から固体中の乱れ(欠陥や粒界)を系統的に抽出し、計算機実験のみならずコロイド実験系における解析にも応用可能であるという特徴をもつ.次に我々は,上のdisorder variableを用い,固体の塑性変形時における構造と転位(dislocation)運動との関係について調べた.塑性変形時におけるslip箇所の特定は,粒子の各隣接粒子との相対運動の抽出が要請される.そのため我々は,ある時間tで隣接に存在した粒子が時間t+dtで隣接から乖離したbroken bonds粒子を塑性変形時において特定した,その結果いずれの固体においても、間欠的な多体的協同運動が発現することを見いだし、特に結晶や多結晶系では面心立方格子{111}面での滑りが起こっていることを確認した.また結晶中のどういった部分で大規模な間欠的協同運動が起こっているかを上のdisorder variableを用いて調べると,結晶中の積層欠陥や多結晶体ではさらに粒界での滑りによって支配されていた.一般的に粒界での滑りは比較的良く知られているが,積層欠陥での滑り運動に関する知見は少ない。この様な中、本研究ではdisorder variableを用いることにより結晶中の積層欠陥を容易に見つけることができ,さらにbroken bonds粒子を特定することにより積層欠陥部分"/"において/CABC…から/BCAB…へと滑り,一連の積層がABCA/BCAB…である最安定な面心立方格子(fcc)構造が回復するというメカニズムを見いだした。
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