研究概要 |
本年度の「研究の目的」は次であった. 1.不確定特異点型共形場理論と量子モノドロミー保存変形との同値性を証明, 2.不確定特異点型共形場理論のアフィンWeyl群対称性の構成, 3.量子モノドロミー保存変形の超幾何型多項式解の構成. 1について.sl3に対する量子Fuli-Suzuki-Tsuda系と共型場理論のKnizhnik-Zamolodchikov方程式の同値性を示すことを目指し、ある表現空間の上では,直接計算することで,両者が同値であることを示すことができたが,一般の場合に示すことはできていない. 2について.藤・鈴木によるE_6^<(1)>型対称性を持つパンルヴェ系のアフィンWeyl群対称性を保存する量子化を構成し,対称性から超幾何型積分表示解を構成した.この古典系は,鈴木によりモノドロミー保存変形から導出されることがわかっているので,その量子系と共型場理論との関係も期待される. 3について.量子Fuji-Suzuki-Tsuda系の超幾何型多項式解を一般化することで,種々の超幾何型多項式を定義し,この超幾何型多項式を解に持つようなSchrodinger方程式を得た.この結果から,超幾何積分,Schrodinger方程式(量子モノドロミー保存変形),モノドロミー保存変形の関係についての予想を得た.超幾何積分とモノドロミー保存変形の関係を明らかにする上で意義がある計算結果であり,関係性を述べたという点で予想には重要性が認められる.
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