研究概要 |
以前までの研究において、ケイ素架橋部位を有したコンパクトなかご型トリアルキルポスフィン:SMAPをシリカゲル上に担持した新規固相担持配位子(以下、Silica-SMAP)がIrやRh触媒を用いたジボロン化合物によるアレーンのオルト位選択的なC-H結合直接ホウ素化反応において極めて高い触媒活性を示すことを明らかにした。本年度では、この著者等の固相担持配位子を用いたホウ素化反応の方法論を拡張し、より困難とされるC(sp^3)項結合の直接ホウ素化反応へと展開した。 一つ目の反応として、窒素上にアルキル基を有したアミドやウレア、アミノピリジンの様な基質に対して、新たに開発した固相担持配位子とロジウム触媒存在か、ジボロン化合物を作用させると、原料の窒素隣接位C(sp3)-H結合に効率的に直接ホウ素原子を導入出来ることを見出した。この反応は、固相担持配位子を用いたときのみ反応が進行し、著者等の開発した配位子の極めて特異的な反応効果を示している。反応は窒素隣接位で選択的に進行し、内部のアルキル基でも反応が進行する。 さらに、2つ目の反応として、固相担持配位子Silica-SMAPとIr触媒存在下、2-アルキルピリジン誘導体にジボロンを作用させることで、窒素のγ位で選択的C(sp^3)項結合をホウ素化できる事を見出した。この場合、一切の活性化を受けていないアルキル基の位置選択的な直接官能基化を実現したことになる。 境在でも、鎖状アルキル基の位置選択的な変換反応は極めて困難で報告例が少ない。特にホウ素化反応においては、我々の触媒系以外では達成されておらず、著者等の固相担持配位子の高い有用性を示すことができた。 さらに、固相担持配位子とCu触媒を用いた1,4-還元反応や、キノリンの位置選択的ホウ素化反応に関する研究を行い、論文として報告している。
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