研究課題/領域番号 |
10J02293
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山本 泰徳 九州大学, 工学研究院, 特別研究員(DC1)
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キーワード | バイオアクチュエータ / 骨格筋 / 再生医工学 / バイオリアクター / 人工筋肉 / 筋芽細胞 / MCL / 磁力 |
研究概要 |
生体内の筋肉は、動作に柔軟性がある、自己増殖・自己修復が可能、常温常圧でエネルギー変換効率が高効率といった特長を有していることから、バイオアクチュエータとしての応用が期待される。そこで本研究では、電気刺激に応じて収縮運動するバイオアクチュエータの構築を目指して、生体外で人工的に三次元筋組織を作製する方法について研究を行った。これまでに、磁力を用いた筋組織構築法により、生体内の筋肉と同様な性質を有する筋組織の作製に成功しているが、一定の厚さ以上の組織を作製する場合、組織中心部への酸素・栄養供給が阻害され、細胞が壊死するという問題を抱えていた。生体内の筋肉は、酸素・栄養を供給するために血管網が張り巡らされており、生体外でラージスケールの筋組織を作製するためには血管のような管を筋組織内に配置し、酸素・栄養を供給しながら培養を行う必要がある。本年度は、機能性磁性ナノ粒子で磁気標識した筋芽細胞を、中空糸を規則的に配列した培養空間内に磁力を用いて充填し環流培養を行うことで、組織中に十分に酸素、栄養が供給可能なバイオリアクターの開発を行った。筋分化培養期間中、経時的に培養液をサンプリングし、グルコースおよび乳酸濃度を測定した結果、グルコースが枯渇することなく、作製した筋組織に対して十分に栄養を供給しながら培養できることが分かった。また、筋分化培養終了後に筋組織断面の観察を行った結果、作製した筋組織内で筋芽細胞は筋管へ分化していた。さらに、ウエスタンブロット法による筋特異的なタンパク質の発現確認を行った結果、筋分化誘導培養することで筋形成・筋収縮に関与しているMyosin Heavy Chain(MHC)、Tropomyosinの発現を確認した。これらのことから、中空糸を規則的に配置した環流デバイスを用いることで、筋組織培養のスケールアップが可能であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、中空糸型バイオリアクターを用いた三次元筋組織の構築に関して研究を行い、その成果を投稿論文(1報)、学会発表(1件)により報告した。当初の研究計画通りに研究成果をあげており、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに、磁力を用いた筋組織構築法で生体内の筋肉と同様の性質を有する筋組織の誘導に成功していたが、課題として作製した筋組織の収縮力が弱いことが挙げられた。そこで次年度は、作製した筋組織に電気刺激などの物理的な刺激を与えながら培養することで、より収縮力の高い筋組織の誘導を目指す。得られた成果については、投稿論文、学会発表を通して報告していく予定である。
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