本資金はフランス革命期マルセイユの諸事件についての、知識収集のための基礎文献購入に主に当てることにした。革命期マルセイユの諸事件には、1792年8.月10日の、パリにおけるテュイルリー宮襲撃へのマルセイユ人の参加や、国王裁判の手続きへの干渉なども含まれる。つまりマルセイユの革命は、フランス革命全体についての該博な知識がなければ理解し得ないことである。そのため、今回は主にフランス革命の基礎文献、特に日本語の文献の購入を行った。その結果は、特に、2011年2月16日の、筑波大学歴史人類学専攻西洋史全体ゼミにおける発表に活かされた。革命期マルセイユにとっては、1792年冬からのパリにおける国王裁判についての議論が、特に重要なものであった。そのため、パリをも含む革命全体についてのより詳細な知識の収集が役立った。 また、2011年1月から3月にかけて(2月に一時帰国)、フランスのエクス-アン-プロヴァンスに滞在し、ブッシュ-ド-ローヌ県公文書館、マルセイユ市公文書館、マルセイユ市立図書館などにおいて一次史料の収集を行った他、フランス革命研究者C・ペラール教授、フェデラリスムのディスクール分析を行っている研究者J・ギヨムー氏、マルセイユ革命研究の大家であるM・ヴォヴェル教授と交流を保った。特にペラール教授の授業に、単位とは無関係に私的に出席させていただき、フランス革命の基礎的かつ重要な知識の収集に励んだ。上記から、研究は大きく前進した。近く博士論文の第一稿を提出できる予定である。
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