研究概要 |
Bi 1-バイレイヤー薄膜のスピン構造について研究成果をまとめた論文を執筆し、応用物理学会(JJAP)にて投稿した。(表題:Rashba Effect on the structure of the Bi One-Bilayer Film:Fully Relativistic First-Principles Calculation, Jpn.J.Appl.Phys.52(2013)035204-035209) 逆格子空間でのスピン分極を解析するプログラムの改良・mpi並列化を行った。等高線探索アルゴリズムを改良した他、原子局在、軌道局在を調べることが可能になった。mpi並列化により、以前より大規模な系の計算が可能になった。 作成したプログラムを用いて、Bi(001)多層薄膜の異方的なRashba効果のスピン分極の詳細を計算した。計算結果は、面内のRashba型スピン渦構造の方向、周期性を持つスピン面直成分の傾向について、スピン・角度分解光電子分光実験の先行研究のものと一致した。さらに、本研究では実験では明らかにされてないFermi面全体のスピン構造を明らかにした。加えて、Fermi面の電子状態の表面局在の割合と、積層による電子構造の変化を調べた。Bi(001)多層薄膜では多くの電子状態が表面1バイレイヤーに局在するが、その局在度がFermi面の各ポケットで異なることを明らかにした。これらの成果について、国内、国際学会で発表した。 また、今年度は採用最終年度に加えて、博士課程最終年度である。これまでの研究成果をまとめた学位論文の執筆を行った。年度後半は、学位論文の執筆に多くの時間を割いたが、これまでの研究成果を振り返ることが出来、研究内容についての理解がより深まった点で有意義であった。
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