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2010 年度 実績報告書

海底沈木における生物群集形成プロセスの解明

研究課題

研究課題/領域番号 10J02580
研究機関京都大学

研究代表者

西本 篤史  京都大学, フィールド科学教育研究センター, 特別研究員(DC1)

キーワード沈木生物群集 / 化学合成系 / 硫化水素条件 / 木材穿孔性二枚貝類 / 被食速度 / 樹種 / 水深 / 深海
研究概要

沈木周辺の有機物には3つ起源がある。1)植物プランクトンによる光合成由来有機物、2)沈木そのもの、3)化学合成細菌である。近年、化学合成系が注目されているが、沈木環境下の硫化水素条件の成立要因については有機物の腐敗や海底接地に伴う水流の遮断によると推定されているものの明確に示されてない。そこで本研究では前者の要因に着目し、2010年9月に海底から離してウバメガシとスギの木片を設置した。動物の付着・穿孔の乏しい設置2ヶ月後に硫化物濃度を測定したところ、ウバメガシにおいて0.0189mg/mL(N=6)検知された。一方スギでは0.00020mg/mL(N=5)しか検知されなかった。これはウバメガシでは含有成分の分解に伴って硫化物条件が直ちに成立するのに対し、スギでは同じ条件で硫化物がほとんど発生しないことが示された。今後、沈木生物群集において高いバイオマスを占める木材穿孔性二枚貝類の腐敗過程を人工的に作成し、硫化物条件をモニタリングする予定である。
表層からの有機物供給が乏しい深海の沈木環境では、沈木由来の有機物が餌源として大きく寄与する。そのままでは餌利用が難しい沈木は、木材穿孔性二枚貝類によって広く餌利用可能な形に変換されることから、穿孔空間の体積を測定し沈木周辺に供給される有機量を推定することで、沈木周辺の有機物条件を推定することが可能である。海況不順のため、H22年度は水深275m、500m、1,000mの3水深からしか回収出来なかった。回収した沈木をCT撮影に供して沈木内部の被食状況を画像化し、穿孔数・被食体積の測定を行った。結果、各サンプルの被食空間割合はウバメガシ;275m:0.49%、500m:3.55%、1,000m:0.00%、スギ;275m:40.30%、500m:21.65%であった。ウバメガシではスギに比べて顕著に値が低く、定着数も少なかったことなどから定着阻害が起きていることが示唆された。定着阻害のないスギでは、深い水深において被食速度が遅い傾向が見られた。樹種や水深の違いが沈木周辺への餌供給条件を大きく左右する可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 海底沈木への生物穿孔~CTを用いた非破壊内部構造解析~2011

    • 著者名/発表者名
      西本篤史
    • 学会等名
      JAMSTECブルーアースシンポジウム
    • 発表場所
      東京海洋大学
    • 年月日
      2011-03-09

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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