研究概要 |
本年度は,近赤外線分光法装置(HITACHI ETG-4000)を用いて,乳児の側頭領域における顔情報の処理特性を検討するためfMRI順応法の手続きを適用した2つの実験を実施した(現在査読付き海外ジャーナルに投稿中である)。 1.生後5-8ヶ月児の側頭領域で顔刺激に対する神経順応が生じるか検討した。その結果,生後5-8ヶ月児の側頭領域でも成人と同様の顔に対する神経順応が生じ,神経順応パラダイムが近赤外線分光法によって乳児にも適用できることを初めて報告した。この研究結果については,Vision Sciences Society 10th Annual Meeting(フロリダ,2010年5月7-12日)にてポスター発表を行った。 2.生後5-8ヶ月児が顔向きの違いに関わらず同一人物の顔を同定しているかを検討した。その結果生後7-8ヶ月児群では様々な向きから顔が提示されても,同一人物の顔に対して神経順応が生じたが,生後5-6ヶ月児群では示されなかった。これらの結果から,生後7-8ヶ月の乳児が向きの違いに関わらず,同一人物の顔を同定できることが示唆された。この研究成果について,41th NIPS International Symposium(岡崎コンファレンスセンター,2010年12月16-18日),日本基礎心理学会第29回大会(関西学院大学,2010年11.月27-28日),新学術領域「顔認知」第2回領域班会議(沖縄県市町村自治会館,2010年12月23-24日)でポスター発表を行い,新学術領域「顔認知」第2回領域班会議では優秀発表賞を受賞した。 その他,2011年3月にはThe University of Western AustraliaのGillian Rhodes教授の研究室に1週間ほど滞在し,研究室見学および研究計画の打ち合わせを行った。
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