研究課題
<Vrs1遺伝子とHvHox2遺伝子の機能分化>Vrs1とHvHox2の機能分化について詳しく知るため、発現部位、発現量の比較を行なった。リアルタイムPCR法を用いてVrs1とHvHox2の絶対定量を行なったところ、Vrs1は穂の初期発達段階でHrHox2より有意に高い発現量を示した。特に雌蕊が分化するwhite anthers tageでは20倍以上の差があった。花器官の分化が完了した後ではVes1とHvHox2の発現量に有意な差は見られなかった。次に、発現の局在性を調べるためにin situ hybridizationを行なった。Vrs1は3つの小穂原基が形成されるtriple-mound stage(約1mm長の幼穂)で側列小穂の原基細胞に局在していた。穂の発達が進んだwhite anther stageでも側列小穂に特異的なシグナルが観察された。特に強いシグナルが外頴、内頴、雌蕊で検出された。一方、HvHox2は全ての器官で発現していた。特にWhite anther stageの幼穂では側列小穂と穂軸を結ぶ小花柄の維管束で強いシグナルが検出された。イネHvHox2オーソログのノックアウト形質転換体は幼苗致死あるいは強い不稔性を示した。発現パターンと構造の類似性からHvHox2はあらゆる器官(特に花器官)の発達に必須の遺伝子であることが示唆された。<VRS1の細胞内局在>VRSタンパク質に特異的な抗体を作成し、免疫染色を行なった。二条オオムギではmRNAの局在と同様に側列小穂でシグナルが観察され、核に局在するタンパク質であることが明らかとなった。Vrs1遺伝子を欠損した六条変異体ではシグナルが検出されず抗体の特異性が確認された。今後、Vrs1の転写因子としての機能を明らかにする必要がある。
2: おおむね順調に進展している
得られたデータをまとめ論文を作成し、投稿中である。
Vrs1遺伝子が制御する下流遺伝子の同定に向けてマイクロアレイ解析、ChIP-seq解析などを行なう。
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Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻: 108 ページ: 12354-12359
10.1073/pnas.1108444108
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