本年度は、D3ブレーンが記述する4次元の超対称性理論を数値的に解析することにより、D3ブレーンの場合のAdS/CFT対応を直接検証する研究を行った。この超対称性理論の数値的な解析は今まで大変難しいと考えられてきた。そこで、我々は最近提唱された、数値的な解析が比較的容易なPlane Wave Matrix Modelと呼ばれる1次元のモデルとこの理論との等価性を用いることでこれを進めている。特に本年度においては、場の理論側であるスカラー場の多点関数を数値的に計算し、その結果が対応する重力側で得られた結果と一致することを確認した。 また、ここで我々が用いた等価性は、高次元の場の理論と低次元の場の理論の間の等価性である、江口・川合等価性を拡張したものである。もしこの等価性が他の理論同士でも成り立てば、数値的な解析が困難な高次元の超対称性理論を、低次元の場の理論を用いて比較的容易に数値的な解析を行うことができる。そこで我々は、3次元球面上のYang-Mills理論において、この等価性の検証を数値的に行った。
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