研究概要 |
本年度は外部磁界印加型SiベーススピンMOSFETの試作・動作実証を実現する際の鍵技術となる,1,単結晶強磁性体/Siヘテロ構造のサブミクロン微細加工技術の構築および2,高品質強磁性体/SOI構造の形成技術の確立を目指し研究を推進してきた.以下,これらについての成果を記す. 1,単結晶強磁性体としてFe_3Si, Co_2FeSiに着目し,電子線描画条件及び,Arイオンミリング条件の最適化を行った.その結果,100nmサイズの微細加工技術を確立することに成功した.また,2μmから100nmまで電極幅を変えたFe_3Si強磁性体電極を用いて異方性磁気抵抗効果を測定したところ,電極幅1ミクロン以下で形状磁気異方性が顕著に発現し,500nm程度で単結晶固有の結晶磁気異方性の影響を受けずに磁気異方性制御が可能であることが判明した. 2,市販のSOI基板(Siチャネル膜厚3即程度)に対して熱酸化とウェットエッチングを繰り返すことでSiチャネルの薄膜化を行った,熱酸化条件(酸素導入条件,温度,時間)およびウェットエッチング条件(エッチャントの種類,濃度)を最適化した結果,Siチャネル膜厚100nmの極薄SOI基板の作製に成功した.分子線エピタキシー法を用いて極薄SOI基板にFe_3Si薄膜を成長させたところ,従来のSi基板上と同程度の高品質なエピタキシャル薄膜の成長に成功した.作製したFe_3Si/SOI構造を用いてフォトリソグラフィーによりスピンデバイスを作製した.明瞭なバックゲート特性を得ることに成功したほか,磁気抵抗特性の動作実証に成功した(~150K).
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