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2011 年度 実績報告書

ブタクサとブタクサハムシを用いて, 外来種の遺伝的・可塑的反応を検証する

研究課題

研究課題/領域番号 10J02845
研究機関九州大学

研究代表者

深野 祐也  九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)

キーワード外来種 / 進化 / 植物 / 防御
研究概要

多くの外来植物は原産地の天敵から逃れている。そのような外来植物では、天敵に対する防御物質への投資を減らし、成長や繁殖への投資を増す方向に進化が起きると予測されている(EICA仮説)。実際に、この予測どおりの変化がいくつかの外来植物で確認されている。しかし、これまでは、食害を受ける前の防御レベル(=構成的防御)を原産地と侵入地で比べた研究がほとんどあった。一方で、食害を受けたあとに、防御レベルを上昇させることが、多くの植物で知られている(=誘導防御)。本研究では、外来植物ブタクサAmbrosia artemsiifoliaの原産地集団と侵入集団を用いて、天敵ブタクサハムシOphraella communaに対する構成的防御と誘導防御のレベルを調べた。
ブタクサの原産地であるアメリカ合衆国の5集団、侵入地である日本の3集団から種子を採集し、九州大学圃場で栽培した。成長したブタクサ株の半数にブタクサハムシによる食害を与え(食害区)、残りの半数はブタクサハムシの食害を受けないように栽培した(非食害区)。その後、食害区・非食害区のブタクサを餌にブタクサハムシを1齢幼虫から成虫になるまで飼育し、死亡率と成虫の乾重量を測定しブタクサの防御レベルの指標とした。
非食害区のブタクサを用いた実験では、侵入地集団で育てたブタクサハムシの方が原産地集団で育てたハムシよりも死亡率が低く、成虫時の乾重量は重かった。すなわち、侵入したブタクサ集団では、構成的防御のレベルが低下していた。食害区のブタクサを餌として与えた場合には、侵入地集団のブタクサ・原産地集団のブタクサ両方で、非食害区のブタクサを与えた場合よりもブタクサハムシの死亡率は上昇し、成虫の乾重量は低下した。すなわち、侵入したブタクサ集団では、誘導防御のメカニズムが維持されていた。誘導防御は構成的防御に比べてコストがかからないので、天敵のいない侵入地環境下でも、長い間維持されるものと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画を順調に消化しているが、論文の執筆がやや遅れている

今後の研究の推進方策

今後は、野外実験の労力を減らし、論文執筆・投稿の時間を増やす。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 外来植物ブタクサの構成的防御と誘導防御の進化2012

    • 著者名/発表者名
      深野祐也
    • 学会等名
      種生物学会
    • 発表場所
      富士Calm(山梨県)
    • 年月日
      2012-03-11
  • [学会発表] Evolution of constitutive and induced defense in an invasive plant2012

    • 著者名/発表者名
      深野祐也
    • 学会等名
      日本生態学会
    • 発表場所
      龍谷大学
    • 年月日
      2012-03-11
  • [学会発表] 進化する外来植物ブタクサハムシに対するブタクサの適応進化2012

    • 著者名/発表者名
      深野祐也
    • 学会等名
      関東雑草研究会
    • 発表場所
      つくば国際交流センター(招待講演)
    • 年月日
      2012-03-02

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公開日: 2013-06-26  

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