研究課題/領域番号 |
10J02848
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中根 右介 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | opsin 5 / deep brain photoreceptor / photoperiodism / circadian clock / Japanese quail |
研究概要 |
昨年度、「光周性を制御する脳深部光受容器の同定」を目的として一連の研究を行った結果、ウズラ視床下部に発現するOPN5が光周性を制御する脳深部光受容器の分子的実体であることを見出した(Nakane et al.,2010)。しかし、OPN5が発現する視床下部以外の脳領域を局所的に光照射することでも光周反応を引き起こすことから、光周性を制御する脳深部光受容器は複数、存在することが予想された。そこで、光周反応のマスター制御因子であるTSHB遺伝子の発現を指標とすることで、ウズラにおける光周性の作用スペクトルを作成した。結果、光周性を制御する光受容分子は、OPN5以外にも、500-600nm付近に感度のピークを持つ光受容分子の関与が示唆された。 この結果を受け本年度は、脳深部光受容器の候補部位となる二つの脳領域において、500-600nm付近に感度のピークを持つオプシンの発現解析を行った。その結果、複数の脳領域でOPN4mをはじめ、複数の光受容分子が発現することを見出した。そこで、3年目に計画していた、「研究3:スライスパッチクランプ法を用いたウズラPVOニューロンの光反応性とその特性の解析」について、PVOだけでなく、新たに光受容分子の発現を見出した2つの脳領域(外側中隔および漏斗核)のニューロンについても、スライスパッチクランプ法を用いて光反応性の解析を行う予定である。 また、本年度は計画通り、自然科学研究機構・生理学研究所が開催する第22回生理科学実験技術トレーニングコースに参加することで、スライスパッチクランプ法の技術習得を行い、本研究室でのセットアップをすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一、二年目に実施を計画していた、ウズラ・マウスOPNX発現細胞の光応答性とその特性を明らかにするという目的は、当初の計画とは異なる"二本刺膜電位固定法"により実施したが、その結果、ウズラ・マウスOPNX発現細胞の光応答性とその特性を明らかにすることができたため(Nakane et al.,2010,PNAS)。また、本年度は計画通り、自然科学研究機構・生理学研究所が開催する第22回生理科学実験技術トレーニングコースに参加することで、スライスパッチクランプ法の技術習得を行い、本研究室でのセットアップをすることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの解析により、OPNXの他に複数の光受容分子が光周性に関与する可能性が挙げられた。そこで、3年目に計画していた、「研究3:スライスパッチクランプ法を用いたウズラPVOニューロンの光反応性とその特性の解析」について、OPNXの発現部位であるPVOだけでなく、新たに光受容分子の発現を見出した脳領域のニューロンについても同様に、スライスパッチクランプ法を用いて光反応性の解析を行う予定である。
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