研究課題
本研究の目的は、南アジアにおけるウルドゥー語出版を軸としながら、この地域のイスラームの社会的実態を研究し、ウルドゥー語で表現される南アジアのイスラーム認識を解明することであった。(1)原典解析を通した、ウルドゥー語とヒンディー語の対抗性の分析:ウルドゥー語がヒンドゥスターニー語から分岐したあと、どのような変遷をたどってきたのか、そして現在どのような文脈で使用されているのかを分析した。これにより、イスラームの言語であるウルドゥー語に対し、ヒンドゥー教徒の言語とみなされるヒンディー語との対抗性を明らかにした。(2)イスラミック・ランゲージとしてのウルドゥー語の学際的分析:ウルドゥー語は南アジアのムスリムの共通語として機能している。アラビア語ではなく、そのウルドゥー語でイスラームが語られるという現象を、イスラーム学だけでなく、文学、歴史学など、複合的な論理を用いて理解した。具体的には、ウルドゥー語で書かれたイスラームに関する文献を取り上げ、ウルドゥー語とイスラーム復興思想とのつながりを明らかにした。また現在、この蓄積の成果を、用語集という形で整理しているところである。(3)フィールド調査に基づくウルドゥー語出版状況の把握:パキスタンで調査を行い、ウルドゥー語の出版状況とその影響力を把握した。また、(1)から明らかにされたヒンディー語との対抗性、(2)のイスラミック・ランゲージとしてのウルドゥー語を、フィールドワークを通して実証し、事例研究として提示した。
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『越境するメディアと社会変容に関する比較研究』、2010年度大学院教育改革支援プログラム院生発案共同研究
ページ: 23-32
『研究と実務を架橋するフィールドスクール-社会に貢献するアジア・アフリカ地域専門家の養成-』、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科平成20~22年度組織的な大学院教育改革推進プログラム実施報告書
ページ: 66-67
http://www.asafas.kyoto-U.ac.jp/kaikaku/reports/2010joint_media.html