研究課題
本研究の目的は、沖縄で語られている植民地台湾の記憶と、沖縄地上戦の記憶、さらに戦後の米軍占領と今日まで継続する米軍駐留をめぐる政治、社会運動、文化状況との相関関係を明らかにすることである。本年度の成果としては、2011年4月から8月まで台湾の中央研究院台湾史研究所に訪問研究員として滞在し、台湾の国史館や文献館が保管している引揚げ関係の資料を収集した。また台北第三高等女学校や宜蘭市にある蘭陽高等女学校の同窓会の方々ほか、日本統治期に中等教育を受けた方々にインタビューを実施し、彼女・彼らが日本や沖縄への引揚者とどのような交流を持ってきたのか調査した。同時に、台湾大学の国際華語センターで2ヶ月間の学術中国語集中特訓を受講した。それまでやや不安のあった学術中国語能力を向上をはかり、今後、中国語を用いた学術研究活動の基礎力を補強することができた。8月に東京に帰ってきた後は、沖縄県内や日本本土のの引揚者団体の会合に参加し、今後のインタビュー調査のための信頼関係の構築に努めた。沖縄県立図書館や国立国会図書館が所蔵する文書資料の閲覧、収集も行った。学年末には、台湾に1週間滞在し、インタビュー調査と資料調査を実施した。またハワイの日系・沖縄系移民のコミュニティセンターを訪問した他、現地の沖縄研究者とのネットワークを構築した。ハワイの沖縄系移民の現状を知ることによって視野を拡げることができ、本研究を進める上で示唆的であった。
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Social Science Japan Journal
巻: VOL.14(2)(掲載確定済み, 未定 (近刊))