研究課題/領域番号 |
10J02933
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
松田 紘子 上智大学, 外国語学部, 特別研究員PD
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キーワード | 沖縄 / 台湾 / 移民 / 引揚げ / エスニシティ |
研究概要 |
本研究の目的は、沖縄で語られている植民地台湾の記憶と、沖縄地上戦の記憶、さらに戦後の米軍占領と今日まで継続する米軍駐留をめぐる政治、社会運動、文化状況との相関関係を明らかにすることである。 今年度は、5月、9月、10月に沖縄島、宮古島、石垣島にそれぞれ約1週間ずつ滞在し、資料調査と日本統治期台湾で生活した経験のある台湾研究者に聞き取り調査を行った。また神奈川県でも聞き取り調査を実施した。さらに8月と11月に台湾にそれぞれ1週間ずつ滞在し、資料調査と聞き取り調査を実施した。戦後台湾で植民地期の記憶がどのように継承されてきたのか、また引揚者と台湾住民はどのような交流を行ってきたのか検討した。これらの調査の中間考察を、6月にカリフォルニア大学バークレー校で開催されたワークショップ、7月に英国・バーミンガムで開催されたシンポジウム、12年3月に早稲田大学で開催されたシンポジウムにて報告した。3つの異なる国で研究報告をしたことにより、複眼的な視点から自分の研究を見直すことができ、研究成果を論文としてまとめるための重要な示唆を得ることができた。またこれまでの研究の成果を、『白山人類学』と『アジア遊学』で発表したほか、編著者として『石垣島で台湾を歩く』を出版した。『石垣島で台湾を歩く』は沖縄県内の中学、高校、大学で教材として利用されることを視野に入れており、学術研究を超えてこれまでの私の研究成果をフィールドに還元できたと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度のフィールド調査と資料収集によって、本研究の目標を達成するためのデータはほとんど入手できた。また国内外で研究発表したことにより、有益なフィードバックを得られた。来年度はこれまでの調査結果を論文として発表することに努めたい。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の目的を達成するためのデータはほとんど得られたので、今後はそれらを単著論文としてまとめることに力を注ぐ。
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