研究課題
潜熱蓄熱とは物質の相変化時の潜熱を用いた蓄熱法で、高密度蓄熱、一定温度での蓄放熱が可能である。本研究では、1)直接接触型潜熱蓄熱装置の伝熱促進及び蓄熱材の凝固形態の観察を目的とした熱交換実験を実施、及び2)低温廃熱利用型氷輸送システムを提案、その可能性調査を実施した。1)ではエリスリトール(融点118℃、潜熱量340kJ/kg)を潜熱蓄熱材として用いて、蓄熱材堆積高さ及び流入熱媒体流量が直接接触型潜熱蓄熱装置における熱交換速度に及ぼす影響を調査した。その結果、蓄熱材堆積高さが熱交換速度に及ぼす影響は小さいが、流入熱媒体流量にほぼ比例して熱交換速度が増大することを明らかにし、熱媒体流量増大による高速熱交換の可能性を示唆した。また、可視化装置を用いた実験では、放熱初期~中期には凝固蓄熱材粒子が蓄熱槽底部に堆積し、流入熱媒油を蓄熱材層中に分散させ、熱伝達率を向上させる効果があることを明らかにした。2)では廃熱源に熱駆動型冷凍機を設置し、200℃以下の低温廃熱投入により氷を製造し、民生へと輸送、冷熱を供給する低温廃熱利用型氷輸送システムを提案するとともに、従来の化石燃料燃焼型冷熱供給システム及び熱輸送システムに対する提案システムの優位性を投入エネルギー量;INH、エクセルギー損失量;EXL及びCO_2排出量;ECO_2の観点から評価じた。その結果、冷凍機の成績係数に関わらず提案システムは従来システムより少ないINH、ECO_2を可能とするシステムであることがわかった。また、EXLに着目すると、成績係数が0.57以上の時他のシステムよりもEXLが少ないシステムが成立することを明らかにした。また、輸送距離50km以上においても従来システムよりEXLが小であった。即ち、本提案システム適用することで、従来システムよりINH、EXL、ECO_2を大幅に削減可能かつ長距離熱輸送可能なシステムが成立することが明らかになった。
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