まず、修士課程からの継続研究である「日本上空の対流圏-下部成層圏の風の日変動」について3編のジャーナル論文を執筆した。 続いて、2010年6-8月に米国大気科学研究所(NCAR)にて滞在研究を行い、「TIMED/SABER衛星データおよび全球再解析データを用いた大気潮汐の研究」と題して、NCARのMaura Hagan氏、コロラド大学のXiaoli Zhang氏、Jeffrey Forbes氏との共同研究をスタートさせた。まず衛星データ・全球再解析データ(6種類)を解析して、全球再解析データが潮汐研究にも使えることを初めて明らかにした。続いて全球再解析データの解析により、対流圏-下部中間圏における大気潮汐の全体像とその季節変化を明らかにした。さらに線形潮汐モデルと力学理論(簡易二層モデル・摂動法)を併せて用いることに依り、大気潮汐は基本的には加熱源に対する応答として理解できるが、背景場(特に東西風)の影響も無視できないことを示した。これらについて国際学会(×2)、国内学会(×2)で発表を行った。現在投稿論文を準備中である。 また、宇宙航空研究開発機構(JAXA)による成層圏大気微量成分測定衛星、超伝導サブミリ波リム放射サウンダ(SMILES : Superconducting Submillimeter-Wave Limb Emission Sounder;国際宇宙ステーションの日本実験棟曝露部搭載)のプロジェクトに関わり始め、大気潮汐の専門的立場からデータ処理・解析の補助を行いつつある。
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