研究概要 |
本年度は、昨年度に学術誌Journal of Economic Inequalityに投稿した論文"Skill-Biased Technical Change,Educational Choice,and Labor Market Polarization:The U.S.versus Europe"について、編集者から改訂要求を受けたため、論文の改訂を行った。具体的には、論文で示唆される理論的予測を数量的に確認し、理論と実証研究の整合性についてより詳細な検討を加えることで、論文の主張する結果が現実の経済を考慮する上でどの程度重要であるかを確認した。改訂後、論文を再度投稿し、昨年度末に再び編集者からの改訂要求を受けたが、2度目の改訂要求は分量や、細部にかかわるものであり、現在修正して再度投稿する準備を行っている。 また、論文"Inequality and Economic Development:The Role of Corruption"を学術誌に投稿したが、棄却されたため、査読者からの批判を考慮して大幅な改訂をおこなった。論文の理論モデルについて、いくつかアドホックな仮定が置かれていたことが問題視されたため、設定をより現実的なものに置き換え、論文の主張が変わらず成立することを示した。また、所得分布の形状を単純な形に限定して議論を進めていたが、数値例を用いてより現実的な所得分布の形状のもとでも、論文の重要な含意である不平等と経済成長の負の関係が成り立つことを確認した。論文の修正は現在、おおむね完了しており、細かな修正を施した後、再び学術誌に投稿する予定である。
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