研究課題/領域番号 |
10J03038
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山本 剛史 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | ハイパー核 / ガンマ線分光 / ラムダ粒子 / 磁気モーメント |
研究概要 |
J-PARCでのハイパー核ガンマ線分光実験では、ハイパー核ガンマ線分光に特化したスペクトロメータシステム「SksMinus」を用いて(K-,π-)反応によるハイパー核生成をタグし、それと同時に、新たに開発した大型Ge検出器群Hyperball-Jを使用してハイパー核から放出されるガンマ線を検出する。これまでに、検出器の一部をHyperball-Jのフレームに組み込んでの動作テスト・性能評価を行い、検出器ユニットが正常に動作することも確認できている。 2011年3月の東日本大震災により、東北大学で準備を進めていたHyperball-Jに使用する検出器が被害を受けた。2011年4月から検出器被害状況の確認作業を行い、一部の検出器を修理する必要があることがわかった。2011年度はじめから検出器補修作業を行い、Ge検出器・PWO検出器の補修作業を現在も継続している。 2012年秋にはJ-PARCのビーム強度10 kWが期待されている。標的毎にビーム運動量の最適化し、この強度での現実的な収量見積もりを行った結果、E13実験の一部標的(4ΛHe、19ΛF)について現状のビーム条件で実験が可能であることがわかった。2012年秋以降にE13実験の前半としてこの2つのハイパー核のガンマ線分光を行う予定であり、Hyperball-Jのin-beamでの性能を確認じ、その後予定されている7ΛLiのハイパー核ガンマ線分光にフィードバックをかける。 E13実験で使用する標的について準備を進めた。4ΛHeのガンマ線分光で使用する冷凍機を用いた液体4He標的システムについては、KEKにて、標的セルの改良、内圧自動制御機構の構築とテストを行った。19ΛFのガンマ線分光については、S/N比を向上させるために液体HF標的を採用した。現在、HF標的専用容器などの設計を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
東日本大震災のために、研究に使用する検出器が被害を受け、この修復作業にほぼ1年間の期間を費やした。また、震災の影響もあり、J-PARCの加速器状況が十分でなく、ビームを用いた実験時期が大幅に遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
震災の影響やJ-PARCの現状を考慮して、2012年秋以降にE13実験の前半として2つのハイパー核(4ΛHe、19ΛF)のガンマ線分光を行う予定である。この期間にHyperball-Jのin-beamでの性能を確認し、その後予定されている7ΛLiのハイパー核ガンマ線分光にフィードバックをかける。これに向けて、Hyperball-J検出器の修復作業とフレームへの組み込み作業を継続する。また、液体He標的システムを完成させ、HF標的システムの構築を進める。
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