研究概要 |
J-PARCでのハイパー核ガンマ線分光実験では、ハイパー核ガンマ線分光に特化したスペクトロメータシステム「SksMinus」を用いて(K-,π-)反応によるハイパー核生成をタグし、それと同時に、新たに開発した大型Ge検出器群Hyperball-Jを使用してハイパー核から放出されるガンマ線を検出する。現状では震災の影響もあり、J-PARCのビーム強度は実験計画時に想定した強度(270kW)に達していないため、現実的な収量計算を基に実験プランを変更し、2013年6月に4ΛHeと19ΛFハイパー核のガンマ線分光実験(E13実験第1フェーズ)を行う予定である。 2011年3月の東日本大震災により、東北大学で準備を進めていたHyperball-Jに使用する検出器が被害を受けた。2011年度から検出器補修作業を行い、2012年度に完了させた。2012年8月に東北大学で準備を進めていたHyperball-JをJ-PARCに移設した。現在までに、実験エリアにてPWO検出器の設置を完了させた。 2012年6月にはJ-PARC K1.1BRビームラインにて、新型のGe検出器ユニットの大強度ビーム環境下での性能を確認するテスト実験を行い、E13実験とほぼ同等の環境下で十分な性能を確認できた。また、E13実験でトリガー検出器として使用予定のエアロジェル検出器のビーム環境下での性能評価を行い、十分な才能が得られることを確認した。 2013年1月からJ-PARCK1.8ビームラインにてSksMinusのセットアップを開始して、2013年3月までにSksMinusシステムのほぼ全ての検出器準備を完了させた。2013年3月にビームを使用したE13実験のコミッショニングを行い、SksMinusシステムのテストを行い、このシステムが機能していることを確認した。 E13実験で使用する標的について準備を進めた。He標的システムについては、KEKにて標的セルの改良と冷却テストを行い、2013年3月には標的システムをJ-PARCに移設した。19ΛFのガンマ線分光については、S/N比を向上させるために液体HF標的を採用し、HF標的専用容器などのテストを行っている。
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