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2011 年度 実績報告書

英語発話に見られる「語尾上げ口調」の音響的・相互行為論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 10J03130
研究機関千葉大学

研究代表者

久保田 ひろい  千葉大学, 大学院・融合科学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード語尾上げ口調 / 韻律情報 / 非言語情報 / 共有基盤 / 談話構造 / 語用論
研究概要

本研究では、英語発話に見られる"語尾上げ口調(High rising terminals: 以下HRT)"の多用の拡大という言語現象を対象とし、その機能を解明することを目的とする。
1.映像資料への非言語情報のラベリング作業
昨年度に引き続き、収集したチュートリアル形式の説明談話の映像資料に対し、動画編集ソフト上で、動作と視線のタグ付けを行った。作業者を雇い、作成したラベリングマニュアルに沿って残りの作業を進めた。動作は、指さしやアイテムの提示等の「説明」のための動作と、実際にアイシャドウを塗る等の「メイクの実践」という二種類の動作がある。視線方向については、聞き手(=カメラ目線)、チュートリアルに使用するアイテム、収録中のチュートリアル映像(=PC画面)の三種類を付与した。
2.発話の分割と韻律のラベリング作業
HRTは発話の末尾で生じる上昇調とされており、まずは発話という単位に分割し、その末尾に生じる音調をタグ付けするというステップを踏む必要があったため、先行研究を参照し、統語的・語用論的境界で音声の分割を行った上で、本研究の研究対象である句末音調のラベリングを行った。韻律については、ToBIというラベリングマニュアルを参照し、音声波形、ピッチ曲線を目視しながら慎重に行った。
3.事例分析
1、2で各種の非言語情報が付与された動画の内、計約70分の映像資料を対象として、詳細に観察し、事例分析を行った。その結果、単に継続の合図としてHRTが用いられているのではなく、新しくトピックを導入する際に、視線と指さしによって聞き手との間に視覚の共有状態を作り出した上でHRTを用いることで、そのトピックを共有基盤に追加する合図としてHRTが機能している可能性が示唆された。
4.対外発表
上述の研究成果について、人工知能学会、社会言語科学会で研究発表を行った。また、昨年度より引き続き執筆を進めてきた認知言語学論考No.10の校正が完了し、関連研究が掲載される書籍が2012年刊行予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今後、定量的な分析を行うためには、妥当性のある基準によってラベリングされたデータベースを作成する必要があるが、特に発話の分割のための「発話の単位」の認定は本課題において非常に重要な問題であるため、この部分について多くの時間を割く必要があった。また、詳細な事例分析を行ったことで、今後の定量的な分析の方向性を定めることができた。

今後の研究の推進方策

今年度の事例分析によって得られた知見について、これまでに句末音調、視線、動作などの情報が符号化されたデータベースを用いて統計的に検討を行う。その際、それぞれの情報どうしの関係性、個々の情報の階層性を表現できるようなタグ付けを行う必要がある。それにより、HRTの局所的な機能だけでなく、談話構造全体の中での機能を検討することが可能となる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 独話における共有基盤の構築方略としての語尾上げ音調2011

    • 著者名/発表者名
      久保田ひろい
    • 雑誌名

      社会言語科学会第28回大会発表論文集

      ページ: 190-193

  • [学会発表] 独話における共有基盤の構築方略としての語尾上げ音調2011

    • 著者名/発表者名
      久保田ひろい
    • 学会等名
      社会言語科学会
    • 発表場所
      龍谷大学
    • 年月日
      2011-09-17
  • [学会発表] 独話において上昇調はどのように使用されるか:上昇調による共通基盤の確認と談話の構造化2011

    • 著者名/発表者名
      久保田ひろい
    • 学会等名
      人工知能学会言語・音声理解と対話処理研究会
    • 発表場所
      九州工業大学
    • 年月日
      2011-07-22

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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