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2010 年度 実績報告書

個体レベルの遺伝解析に基づく草原性絶滅危惧植物の保全遺伝学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 10J03350
研究機関京都大学

研究代表者

横川 昌史  京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード半自然草原 / 生物保全 / 絶滅危惧種 / マイクロサテライト / 遺伝構造 / 繁殖生態 / 保全遺伝学 / 保全生態学
研究概要

多くの草原性絶滅危惧植物が集中して生育するホットスポットである阿蘇山系において、複数種の絶滅危惧植物(ハナシノブ、マツモトセンノウ、オグラセンノウ、ヒゴタイ、ツクシクガイソウ、ヒメユリ、タマボウキ)を対象に、保全生態・遺伝学的調査を行った。今年度はオグラセンノウとツクシクガイソウのマイクロサテライトマーカーの開発と遺伝子型の決定を行い、ハナシノブとマツモトセンノウの繁殖生態の調査を行った。対象種の生育地のうちアクセスが可能な場所において生育状況を調査し、遺伝解析用サンプルを採取した。オグラセンノウの遺伝子型に基づき集団の遺伝的多様性と遺伝構造を評価したところ、集団サイズに関わらず、すべての集団で遺伝的多様性は高かった。一方、生育地の分断化や縮小により集団間の遺伝子流動が減少し、遺伝的分化が進みつつある可能性が考えられた。ツクシクガイソウについては、多くのサンプルが同一の遺伝子型を示し、無性生殖を中心に集団を維持している可能性が考えられた。また、ハナシノブとマツモトセンノウの繁殖生態を調査した。ハナシノブでは、マルハナバチ類の訪花頻度が結実を制限していることが明らかになった。マツモトセンノウでは、管理放棄された草原やスギ植林地で結果率が低かったが、半自然草原であっても虫害が多い集団では結果率が低かった。両種ともに、ほぼすべての集団で花粉制限が検出され、送粉者による花粉の輸送が不足している可能性が示唆された。これらの成果は保全生態学の基礎として重要なだけでなく、実際の保全の現場でも応用できるものであると考えている。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] 北岳に生育するミヤマハナシノブの遺伝的多様性および遺伝構造の解析2011

    • 著者名/発表者名
      横川昌史, 長池卓男, 西川浩己, 井鷺裕司
    • 雑誌名

      山梨県総合理工学研究機構研究報告書

      巻: 6 印刷中

  • [雑誌論文] 阿蘇の草原性絶滅危惧植物と林業2010

    • 著者名/発表者名
      安部哲人, 横川昌史, 兼子伸吾, 井鷺裕司
    • 雑誌名

      九州の森と林業

      巻: 94 ページ: 1-3

  • [学会発表] 絶滅危惧植物ハナシノブにおける結実率の個体群間の変異を決める要因2011

    • 著者名/発表者名
      横川昌史, 安部哲人, 井鷺裕司
    • 学会等名
      第58回日本生態学会大会
    • 発表場所
      北海道札幌市札幌コンベンションセンター(ポスター発表)
    • 年月日
      2011-03-10
  • [学会発表] 阿蘇地方の草原性絶滅危惧植物マツモトセンノウの繁殖生態2011

    • 著者名/発表者名
      安部哲人, 横川昌史, 井鷺裕司
    • 学会等名
      第58回日本生態学会大会
    • 発表場所
      北海道札幌市札幌コンベンションセンター(ポスター発表)
    • 年月日
      2011-03-09
  • [学会発表] 異なる管理形態下に成立した草地植物群集の機能的組成とその指標種:阿蘇牧野における放牧型・採草型半自然草地を事例に2011

    • 著者名/発表者名
      小柳知代, 楠本良延, 平舘俊太郎, 森田紗綾香, 横川昌史, 高橋佳孝
    • 学会等名
      第58回日本生態学会大会
    • 発表場所
      北海道札幌市札幌コンベンションセンター(ポスター発表)
    • 年月日
      2011-03-09
  • [学会発表] 草原性絶滅危惧植物ハナシノブにおける同種および他種の開花密度が訪花昆虫相に与える影響2010

    • 著者名/発表者名
      横川昌史, 安部哲人, 井鷺裕司
    • 学会等名
      第42回種生物学会シンポジウム
    • 発表場所
      京都府京都市京都大学(ポスター発表)
    • 年月日
      2010-12-12
  • [学会発表] 絶滅危惧植物オグラセンノウにおけるマイクロサテライトマーカーを用いた遺伝的構造の解明2010

    • 著者名/発表者名
      小関圭一, 藤井紀行, 竹原真理, 横川昌史, 兼子伸吾, 井鷺裕司
    • 学会等名
      日本植物学会第74回大会
    • 発表場所
      愛知県春日井市中部大学(口頭発表)
    • 年月日
      2010-09-09
  • [学会発表] 半自然草原に生育する絶滅危惧植物ハナシノブの遺伝構造に基づく保全2010

    • 著者名/発表者名
      横川昌史, 兼子伸吾, 井鷺裕司
    • 学会等名
      第121回日本森林学会大会シンポジウム
    • 発表場所
      茨城県つくば市筑波大学
    • 年月日
      2010-04-03

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公開日: 2012-07-19  

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