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2012 年度 実績報告書

天然テルペノイド標的分子の究明とその機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 10J03355
研究機関京都大学

研究代表者

大西 康太  京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワードzerumbone / プロテアソーム / オートファジー / タンパク質品質管理機構 / ホルミシス / タンパク質修飾
研究概要

ハナショウガ由来の抗発がん性テルペノイドであるzerumbone(ZER)は、生体タンパク質に対する非選択的な求電子付加反応を介し、培養細胞やラット肝臓において、タンパク質修復因子である分子シャペロンの発現を増加させる。一般的に、生体タンパク質の恒常性は、タンパク質修復系だけでなく、ユビキチン―プロテアソーム系(UPS)及びオートファジー(AP)から成る分解系により維持されている。そこで、ZERがこれらタンパク質分解系を活性化させる可能性を検証した。以下に、平成24年度における研究実施状況を述べる。
まず、ZERのタンパク質変性能を評価した。Hepalclc7マウス肝臓がん細胞を本物質で処理したところ、変性タンパク質に対するユビキチンリガーゼCHIP依存的にタンパク質のユビキチン化が促進した。また、ZER処理による細胞内凝集タンパク質の増加を認めた。以上の結果から、ZERが生体タンパク質に対して変性ストレスを与える可能性が示唆された。
続いて、ZERがUPS及びAPを活性化する可能性について検証した。Hepalclc7をZERで処理することにより、プロテアソーム構成因子β5の発現が誘導された。これに伴い、プロテアソームのプロテアーゼ活性が有意に増強した。一方、ZERはAPのマーカー分子であるLC3-IIを誘導した。PCRarrayを用いて計84種のAP関連遺伝子の発現を評価したところ、ZERのp62に対する顕著な誘導活性を見出した。p62は、異常タンパク質に対する選択的APの誘導に重要な分子である。内因性脂質過酸化物4-hydroxy-2-nonenal(HNE)によるタンパク質修飾及び細胞毒性は、細胞をZERで前処理することにより有意に緩和されたが、本細胞保護作用はp62のノックダウンによりほぼ完全に消失した。以上の結果から、ZERはタンパク質修復系だけでなく、分解系をも活性化させることが明らかとなった。
平成23、24年度において見出したZERによるタンパク質品質管理機構の活性化作用は、本物質により引き起こされたタンパク質ストレスに対する適応応答(ホルミシス)であると考えている。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Zerumbone, an electrophilic sesquiterpene, induces cellular proteo-stress leading to activation of ubiquitin-proteasome system and autophagy2013

    • 著者名/発表者名
      Kohta Ohnishi
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 430 ページ: 616-622

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2012.11.104.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Non-specific protein modifications by a phytochemical induce heat shock response for self-defense2013

    • 著者名/発表者名
      Kohta Ohnishi
    • 雑誌名

      PLoS One

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0058641.

    • 査読あり
  • [学会発表] 抗発がん性テルペノイドzerumboneによる異常タンパク質分解系の活性化2013

    • 著者名/発表者名
      大西康太
    • 学会等名
      2013年度日本農芸化学会大会
    • 発表場所
      東北大学川内北キャンパス(宮城県)
    • 年月日
      2013-03-26
  • [学会発表] Zerumboneによるタンパク質分解系の活性化2012

    • 著者名/発表者名
      大西康太
    • 学会等名
      第17回日本フードファクター学会学術集会
    • 発表場所
      静岡県男女共同参画センターあざれあ(静岡県)
    • 年月日
      2012-11-11
  • [学会発表] ファイトケミカルによるタンパク質変性作用の究明2012

    • 著者名/発表者名
      中畑恵利奈
    • 学会等名
      第17回日本フードファクター学会学術集会
    • 発表場所
      静岡県男女共同参画センターあざれあ(静岡県)
    • 年月日
      2012-11-10
  • [学会発表] ゼルンボンによるタンパク質分解系の活性化機構2012

    • 著者名/発表者名
      大西康太
    • 学会等名
      第7回ハナショウガ研究会
    • 発表場所
      近畿大学農学部(奈良県)
    • 年月日
      2012-08-28
  • [学会発表] 適度なケミカルストレスによる生体防御機構の強化2012

    • 著者名/発表者名
      村上明
    • 学会等名
      第19回日本がん予防学会
    • 発表場所
      じゅうろくプラザ(岐阜市文化産業交流センター)(岐阜県)(招待講演)
    • 年月日
      2012-06-22
  • [学会発表] ファイトケミカルによるタンパク質ストレスと適応応答2012

    • 著者名/発表者名
      村上明
    • 学会等名
      第65回日本酸化ストレス学会学術集会
    • 発表場所
      あわぎんホール徳島県郷土文化会館(徳島県)(招待講演)
    • 年月日
      2012-06-07
  • [備考]

    • URL

      http://foodscience.rakurakuhp.net/

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公開日: 2014-07-16  

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