研究課題
生命の最小単位は細胞である。そのため、医療の分野や生命の本質を探るような研究分野では単一細胞レベルでの情報を得ることが必要とされている。本研究では、細胞単離後、真核生物のモデル細胞としてJurkat cellのハウスキーピング遺伝子であるGAPDHを、RT-PCRを行ってmRNAの発現を検出可能か検討した。本研究では細胞の単離を行った後、そのまま溶液交換を行わずに細胞から直接RT-PCRを行う必要があるため、細胞からワンステップでのRT-PCR手法について検討を行った。細胞からワンステップでRT-PCRを行うためには、細胞膜を破壊してmRNAを取り出す際に逆転写酵素を失活させない事が重要である。一般的な逆転写酵素では細胞膜を破壊するために高温にした際、熱で酵素が失活してしまうために、本研究では高温条件下でも失活しないで逆転写活性を持つTth polymeraseを使用した。また、RT-PCRの際にmRNA以外の細胞中のDNAがPCRによって増幅されないかも検討した。結果、細胞からの直接RT-PCRが可能であり、逆転写を行わずにPCRを行った場合には増幅産物が確認されなかった事から、GAPDHのmRNAだけを検出する事が可能であることが分かった。このように、1つのデバイス上で大量の単一細胞から直接RT-PCRを行う技術はまだ確立されておらず、これまでの平均化された分子情報では分からなかった細胞一つ一つの応答が確認できる可能性があるため、生命のより正確な理解につながると考えられ、学問的意義も大きいと考えられる。
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Analytical and Bioanalytical Chemistry
巻: Vol.398 ページ: 2997-3004
Chemical Sensors
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