Atg16L単体およびAtg16L-Rab33B複合体の相互作用様式の解明 これまでに得られていた複合体と思われる結晶では、その結晶化条件の精密化を経ても解析可能なデータを収集することは適わなかった。そこで、複合体の結晶を得る前段階として、結晶性の良い単体の探査を行った。結果的にAtg16L(80-200)の結晶構造をSe異常散乱法を用いて3.5Åの分解能で決定したところ、逆平行コイルドコイルである可能性が示唆された。これはX線小角散乱データからは得られなかった新しい知見であり、本研究の論点である巨大複合体に関係が深い重要な発見である可能性が高い。 しかし、同サンプルは結晶性が悪く、より良い分解能での解析が困難であった。現在、より安定なコンストラクトから幾つかの結晶が得られており、結晶性の評価を行っている。Atg16Lの単体構造および複合体構造の解析に向けて、必要な成果が整いつつある。 Atg16L単体およびAtg16L-Rab33B複合体の溶液構造の解明 Atg16L-Rab33B複合体のX線小角散乱データを収集したところ、Rab33B濃度依存的に異常に大きな集合体の形成が観測された。これは、非特異的な相互作用もしくは複数の特異的な相互作用が同時に観測されている可能性があり、データから相互作用様式および複合体構造を解析することは不可能であった。 また、Atg16L単体でのデータが測定の度に一部異なることが判明した。Atg16L単体の溶液構造のモデルが今までに得られていたが、この単体の構造は実は柔軟である可能性が新しく示された。現在、解釈可能なデータの収集を目指して、サンプルおよび実験条件のスクリーニングを行っている。
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