研究課題/領域番号 |
10J03618
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研究機関 | 総合研究大学院大学 |
研究代表者 |
中村 健介 総合研究大学院大学, 高エネルギー加速器科学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 結晶構造 / 異常散乱法 / X線小角散乱 |
研究概要 |
Atg16L単体およびAtg16L-Rab33B複合体の相互作用様式の解明 前年度に得られた3.5Aのセレノメチオニン置換体Atg16L(80-200)の結晶構造を基に、Atg16L単体の結晶構造の解析を進めている。条件の最適化や精製手法の最適化によりこれまでに比べ、良質の結晶が得られる様になっており、より高い分解能での構造解析に取り組んでいる。 Atg16L単体およびAtg16L-1Rab33B複合体の溶液構造の解明 Atg16L単体の構造に加えて、異なる長さのコンストラクトや複合体を精製してきており、現在はこれらの測定条件をつめているところである。 Arfaptin1/2 BARドメインとArl1の複合体の結晶構造解析 前年度にオートファジーにおける隔離膜形成プロセスを理解する上で重要となる膜変形に携わるタンパク質の性質を解明することを目的とした研究を始めている。そこで、ArfaptinとArl1との複合体の立体構造を決定しており、Arl1と別分子のRac1とも競合を解析していた。今年度は、この実験をブラッシュアップして、構造モデルとの比較も十分に行い、ArfaptinによるArl1系とRac1系のシグナルのクロストークの分子機構に関して論文を投稿中である。 SYLFドメインタンパク質SH3YL1の結晶構造解析 前年度始めたプロジェクトであり、様々なコンストラクトで結晶化スクリーニングを行ったが、今までに結晶構造に耐えうる結晶は得られていない。そこで現在は脂質ヘッドグループと共結晶化を行うことで、より安定な結晶を探索している。脂質の無い条件に比べて、高い核の形成が見られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Atg16Lタンパクに関しては、予定に届いていない部分もある。しかし、設備と時間を有効に利用して、関連タンパク質の結晶構造を解明する成果を上げている。これらの経験から得た知識と技術を活かして、Atg16Lのプロジェクトも今まで以上に効率良く推進できている。
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今後の研究の推進方策 |
Atg16L単体およびAtg16L-Rab33B複合体の相互作用様式の解明 Atg16L単体そのものの物性も良くない。また、Rab33Bの複合体も余り安定ではない。よって、これらの物性の改善が必要である。現在進行中の結晶化スクリーニングと平行して、タンパク質の溶解度だけでなく結晶性などの予測計算法の研究を始める。
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