研究概要 |
当研究では,実効的閉集合の計算可能性構造を分析する.計算可能性解析学におけるle RouxとZieglerの問題は,ユークリッド平面において,計算可能な点を含まない単連結な非空実効的閉部分集合が存在するかを尋ねるものである.当研究では,まず,このle RouxとZieglerの問題を解決した.また,計算可能な点を含まない可縮な非空実効的閉集合の存在は,より高次元のユークリッド空間においてさえ知られていなかったが,ユークリッド平面においてそのような集合が存在することを示した.加えて,どのような位相構造が実効的閉集合の計算可能性構造を決定するかを分析するために,可縮かつ局所可縮な実効的閉集合で,計算可能な方法では内部から近似することが出来ないものが存在することを示した.さらに,不連続関数の計算可能性構造を分析するために,直観主義論理および極限計算可能数学における選言を利用し,ベール空間の冪集合上の二項演算として,選言作用素の概念を導入した.この選言作用素をカントール空間の実効的閉部分集合たちに作用させることにより,学習可能性および並列計算に基づく不連続関数の階層を分離することが可能であることを示した.加えて,ベール空間における極限学習の力学的モデルを導入し,この手法が学習の階層を分離する極めて強力な手法であることを発見した.この手法を実効的閉集合に適用することで,0でない任意の実効的閉Medvedev次数がanti-cupping性を持つことを示した.
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