研究課題
主要作物はその収量の約20%がウイルス病により失われており、ウイルス病の防除は農学における最重要課題の一つである[Plant Virus Disease Control,1998]。本研究課題では、ウイルス病の防除戦略として、植物が備えている感染初期の高度な防御機構Extreme Resistanceを解明し、応用することを目指す。Extreme Resistanceは、ジャガイモのタンパク質RxがジャガイモXウイルスの外被タンパク質を認識して引き起される例が知られている[EMBO J 1993.12;379-386]。そのため、本研究ではウイルスにジャガイモXウイルス、植物にはRxを形質転換したシロイヌナズナを使用する。今年度は、ジャガイモXウイルス外被タンパク質のクローニングベクターおよびRxを形質転換したシロイヌナズナを作成し、実験系の構築を行った。前者に関しては、ジャガイモXウイルス(BS系統)の塩基配列から外被タンパク質部位を増幅し、植物用発現ベクターに導入した。後者に関しては、califlower mosaic virus 35S promoter下流にRxをコードする遺伝子を連結したコンストラクトを導入した形質転換体を作出した。今後は、本研究成果で得られたシステムを使用し、Extreme Resistance時のタンパク質修飾プロテオーム解析を行う。そして、それによって得られる知見からERの制御を基盤としたウイルス病新規防除技術の構築を目指す。
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PLoS ONE
巻: 6 ページ: e16512
Journal of General Plant Pathology
巻: 76 ページ: 229-231
巻: 76 ページ: 345-347