研究課題/領域番号 |
10J03962
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川尻 洋平 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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キーワード | アビナヴァグプタ / ウトパラデーヴァ / シヴァ教 / 『主宰神の再認識に関する反省的考察』 / 『主宰神の再認識に関する反省的考察注』 / 南インド / 『パラートリーシカー』 / 『主宰神の再認識詳注』 |
研究概要 |
今年度は、アビナヴァグプタの主著『主宰神の再認識に関する反省的考察』認識章第六日課を、カシュミール出身の注釈バースカラカンタの『バースカリー』の解釈に基づいて読み進めた。この成果については、次年度以降、8本のシャーラダー写本を用いて作成中である『主宰神の再認識に関する反省的考察』の再校訂テキストと併せて順次公表する予定である。また『主宰神の再認識に関する反省的考察』に対する未出版の注釈『主宰神の再認識に関する反省的考察注』に関しては、前年度に入手したマドラスのデーヴァナーガリートランスクリプトを用いて、当該箇所の校訂テキストの作成を進めている。その成果の一部を、インド、デリーで開催された第15回国際サンスクリット学会にて発表した。このとき発表された内容については、Journal of Indian Philosophyへ投稿する予定である。またローマ大学のTorella教授のもとで、部分的にのみ現存するウトパラデーヴァ著『主宰神の再認識詳注』を読み進めた。これに関連して、『主宰神の再認識詳注』の断片を新たに発見し、それに関する論文をウトパラデーヴァに関するワークショップのプロシーディングに寄稿している。サンスクリット学会でも議論されたが、ウトパラデーヴァが体系づけた再認識派の哲学をどのようにアビナヴァグプタが発展させたかを考える上で、重要な発見である。またナポリ東洋大学のSferra教授の授業にも参加する機会を得て、『パラートリーシカー』について新しい知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『主宰神の再認識に関する反省的考察』認識章第五日課第六日課については、すでに読み終えているが、『主宰神の再認識に関する反省的考察注』の校訂テキストと翻訳については続行中である。写本調査については、行方不明になっている『パラートリーシカー・ラグヴリティ』のマドラス写本のコピーをTorella教授のコレクションから入手し、また『主宰神の再認識詳注』の新断片を発見することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、『主宰神の再認識に関する反省的考察注』と『バースカリー』の解釈の比較検討を行い、『主宰神の再認識に関する反省的考察』の翻訳を改善していく。行方不明であった『パラートリーシカー・ラグヴリティ』のマドラス写本を新たに入手したので、これについてもディプロマティックエディションを作成するとともに、その写本伝承についても明らかにする必要がある。またアビナヴァグプタ以前のウトパラデーヴァの解釈についても、写本調査の過程で得られた『主宰神の再認識詳注』の断片から検討することを考えている。
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