研究課題/領域番号 |
10J04066
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
菅野 陽将 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
キーワード | メソポーラス物質 / 配向 / リソグラフィー / 制限空間 |
研究概要 |
集積回路に見られるような微細構造は現在トップダウン手法によって作製されており、今後はデバイスの小型化・高密度化の観点からボトムアップ手法の採用が不可欠となる。このような観点から、トップダウン手法とボトムアップ手法の融合により、サブミクロンスケールの制限空間等を利用した配向性ナノ複合体薄膜の作製および偏光素子等デバイスへの応用展開を目指して研究を推進した。研究計画の2年目である本年度では、サブミクロンスケールでの複合化と配向制御の両立を目指して、初年度の研究において培った知見を活かして研究を推進した。初年度の研究において達成したシリカ-チタニアメソ構造体複合薄膜・配向性チタニア構造体薄膜は焼成によって直接メソ多孔体に転換することが出来なかった。このため、テトラメトキシシランによる骨格強化を経た後、焼成することによってメソ多孔体薄膜を作製した。作製された配向性シリカ-チタニア薄膜は非晶質であったが複屈折性を示し、今後位相板などへの応用が期待できる。また、ナノロッドの配向制御を行う第一段階としてアスペクト比を調整した酸化亜鉛ナノロッドの作製を行った。作製されたナノロッドは表面処理によって液晶性・チキソトロピー性を示した。昨年度より引き続き行った電解析出法によるメソ多孔体薄膜中への金ナノ構造体の作製では、基板-薄膜界面におけるメソ孔の配向が金ナノ構造体の形成に大きく影響していることがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画の目的の一つであるマイクロスケールでのメソ構造体の複合化は既に達成されている。ナノ構造材料との複合化は今年度達成したアスペクト比の制御された酸化亜鉛ナノロッドの作製手法を用いて進める予定である。想定外の結果として、配向性のメソ構造に由来する複屈折性を報告しており、今後波長板などの光学デバイスに展開可能であると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、マイクロスケールで複合化したメソ多孔体薄膜の物性、特に複合化することによって産まれうる光学的な特性について更に研究をすすめる。ナノロッドを配向させることによって作製できる配向性ナノ構造体薄膜については金ナノロッド分散液を用いた作製手法を検討する予定であったが、水系かつ低濃度でのみ作製が可能なため成膜に問題があった。このため、有機溶媒中に分散でき、高濃度で作製が容易な酸化亜鉛ナノロッド分散液を用いて同様の研究を行う。光学的に金ナノロッドの複合化が望まれる場合には、電解析出法によりメソ孔中にナノロッドを導入する手法で代替する。
|